800ページに近い大作です。 ミステリーですので、謎も面白かったですが、それ以上に、1888年のロンドンに酔いました。華麗な繁栄の下にある、貧困、グロテスク、神秘主義・・・。 自分のやりたいことに、迷い迷う、青臭い主人公に感情移入しやすいためでしょうか。読み出したら現実を、忘れます。読みかけで、仕事をしていても、散歩に行っても、頭の中は19世紀末のロンドンです。 ただ、登場人物の一覧がないので、最初は、少し読むのに苦労しました。
800ページに近い大作です。 ミステリーですので、謎も面白かったですが、それ以上に、1888年のロンドンに酔いました。華麗な繁栄の下にある、貧困、グロテスク、神秘主義・・・。 自分のやりたいことに、迷い迷う、青臭い主人公に感情移入しやすいためでしょうか。読み出したら現実を、忘れます。読みかけで、仕事をしていても、散歩に行っても、頭の中は19世紀末のロンドンです。 ただ、登場人物の一覧がないので、最初は、少し読むのに苦労しました。
文学の素晴らしさを実感させる本だと思う。 前半はゆったりとした流れで進み、色鮮やかな表現で幻想的な物語調だ。 数の概念や哲学的な話が面白く感じたし、考えさせられもした。 後半になり世界が一転。 冷水を浴びせられた気分だった。現実を突きつけられるスリルがあった。 前半と後半のギャップと、明かされる真相がこの物語の最大の魅力だろう。 視覚的な光と闇。感性の光と闇。それらが前半と後半で交差している。 私は読み終えて、目次を見て、そして全体像を確認し、納得した。 こういう仕掛けだったのか、と。 そしてもう一度前半部分を読み返し疑問部分を検証したりした。 芸術家でもある作者の「美の世界観」を感じさせる構成だ。 文章にしかできないこの面白さと意外性、そして美しさが表現されている。
大好きです。人生のベスト3に入ると思う。
ダフネの存在の危うさ、原口の動機の不鮮明さと、つっこみどころはいくつかある。
でもそんなものは全く減点の対象とならないくらい、この小説世界は魅力的だ。引きこまれる。
タイトル。構成と叙述の妙。読み手の解釈に委任された、もどかしくも切ないラスト。思わず放心してしまうくらい、よくできている。
でも何よりも心に訴えるのは、父王とレイアの関係だ。
幽閉され、目も見えないレイアにとって、たったひとつ輝く存在である父王。
暗闇の中で生きながらも彼女は、彼の手の中で護られ、愛され、彼を世界と信じ、彼の紡ぎだす美しい世界を見ている。
そこは「現実」よりも光にあふれ、美しいもので満ちている。おとぎ話のような神聖な世界。
それは、歪んではいるけども、本物の「王国」だ。
この二人の関係と、外界との対比。これが物語のテーマだと思う。250ページの文章を玩味してほしい。
「闇の中に在って、世界は何と美しく輝いていたことだろう!」
「世界」は光に満ちた闇なのか。レイアは幸せだったのか。幸せになれるのか。二人はまた「王国」を再建するのか。できるのか。
そして私たち自身は。
「世界」にあって、「王国」を持っているのか。
何度読んでも、考えさせられる。
鮫島有美子さんの歌がCD4枚に79曲も入って、この価格とは嬉しい限りです。
鮫島さんの作品は図書館にもかなり揃っていて、タダで借りられるのですが、本作品は思わず買ってしまいました。
鮫島さんの声をハスキーであると評するレヴューがいくつか見受けられますが、はたしてそうでしょうか? Amazonのレヴューを見る前から鮫島さんの歌はよく聴いていたのですが、ハスキーだと感じたことはありませんでした。他の女性ソプラノ歌手による日本唱歌も聴きますが、レビューを見た後に聴き比べてみて、なるほど鮫島さんはややハスキーかな、と初めて感じた程度です。ポップスやジャズシンガーのハスキー・ボイスとはまったく異なります。鮫島さんの歌唱は柔らかで抑揚があり、清く流麗であり、尚かつ一言一言がはっきりしていて芯があります。さすがは第一人者です。
本作品は過去の作品からの集大成ですので、既に鮫島さんの作品をたくさん持っている方にとっては、これを買うと曲目が既にお持ちのCDとダブることになるでしょう。それでもこの曲数でこの価格なので、買っても良い一品です。曲を季節毎に分けてCDに収録してあるのも嬉しいところです。
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