主人公・兵頭北神は、柳田國男が自ら封じた民俗学の暗黒面「邪学」を継承する人物である。柳田國男をはじめとして、宮沢賢治、竹久夢二、伊藤晴雨など、日本の歴史に名を刻んだ人物が登場し、「山人」を巡って話が展開していく。姉妹作品である『木島日記』と同様に、独特の世界観を持っており、不思議な魅力を持った作品である。 ちなみに、この兵頭北神という人物は、『MADARA天使篇』に登場する兵頭沙門の養父である。この作品を見ると、なぜ沙門が狂ってしまったのか解る気がする。
1巻は持ってましたが、2巻発売を見逃し書店を探し回ってもなかなか見つからず Amazonさんにて購入いたしました。迅速な配送に感謝いたします。
絵だけでは何が起きているか不明すぎるので
キャラクター小説なるものも必要となったのだろう。
併せて読むことにより多義性は失われたが
まあ、面白かった。
『怪談』の著者として有名な小泉八雲、ラフカディオ・ハーンを中心に描く、民俗学ロマンシリーズ第三弾(らしいです)。
小泉八雲、八雲と偶然旅先で出逢い、弟子を自称する会津八一、内閣法制局松岡参事官の元で私的に働く、眼を包帯で隠した男甲賀三郎。
三人はある村で出会う。その村には、訪れた旅人をもてなす風習があったが・・・という「夏越祓」。
神無月に出歩く、まつろわぬ神々の起こす厄災「妖精名彙」の二話が収録されています。
今までの北神、木島といったシリーズを楽しめた人なら間違いなく楽しめるでしょうが、今までの作品ほど、国家が関わる妖しい陰謀、といったかんじはありません。そもそも、明治期の「国つくりの神話」といったほうが正しいかもしれません。
難点といえば、今までの作品ほど魅力的なヒロインがいないことですかね 笑
キクリさま、あんまりかわいく・・・ないかも 笑
下巻では、江戸川乱歩、北一輝などが登場する。また、姉妹作品である『木島日記』のキャラクターも出演している。『北神伝綺』という物語は、昭和初期に実在した人物と同名の登場人物が居たり、本当に起こった事件を扱ったりしているが、勿論100%フィクションである。当然の事であるが・・・。しかし、フィクションであるからこそ、混沌とした近代の日本をリアルに描き出しているのではないかと思う。 この作品を読むと、日本史がどれだけ正確なモノなのか疑問を持たずにいられない。そういった不確かなものが歴史の魅力の一つだったりもするのかなぁ・・・と考えたりもする。作者の大塚英志は大学時代に民俗学を専攻しており、彼の恩師は柳田國男の弟子であったという。大塚英志は恩師に「民俗学は偽史に他ならない」と言われたそうである。結局、歴史というものは国家によって創造され、捏造され、現在に至っているのだ。 この物語の中に存在する妄想は人を魅了する。たまにはこんな作品にドップリと浸かってみるのもいいのではないかと思う。
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