帯に「食の個人史」というフレーズがあるが
1940年生まれの片岡義男さんが
スパゲッティ・ナポリタンを通して
戦後昭和から今日の時代までを読み解いている。
ネーミング、調理法、社会学的なアプローチ、体験談など
多角的な切り口で、かつ、
論点があまり多岐に拡散しないよう注意しながら
見事に一冊の本にまとめている。
私は60年代生まれではあるが、
ナポリタンへの思いや体験はかなりの部分で重なり合う。
バブル経済崩壊後に青春時代を送った読者にとっても
食を通じて昭和を追体験できる恰好の資料ではないか。
本書は発刊された直後に読了していたのだが、
東日本大震災を機に、
戦後日本が歩んだ高度経済成長の時代に絡んだ
本書を読み返した次第である。
私にとっては20年以上経っても気になる映画です。
映画が持つあの独特の雰囲気、おしゃれ? ちょっと違う。スマート? これもちょっと違う。
評価は分かれると思います。「さっぱりわからない」というのが第一印象、でも時間が経つにつ
れて、私の心の中でそれぞれのシーンがよみがえってきて反芻している自分に気がつくのです。
なんでしょうね、この不思議な感じは。
「マジックさ」
という声が聞こえてきます。
ついでに、この作品に出ている薬師丸ひろ子は、少女として抱きしめたくなるほど自然な感じが
します。本人がどう思っているかは知りませんが。
挿入歌のスロウ・バラードはiTMSで1曲買いできますよ。
一昔前、角川文庫を代表する作家のひとりであった片岡義男の原作をもとに、角川春樹(河原で自転車をこいでいるおやじ役で登場)がプロデュースした「角川」映画。高度経済成長期後半の青春のやるせない部分をやるせなく描いた映画になっている。しかし、藤田敏八の演出は現代の目から見ると少々古くて泥臭すぎ、若い人は相当の違和感を感じるだろう。また、片岡義男的バイク愛や片岡義男的「敏感すぎて苦しい」若者の感性は映画からはほとんど伝わってこず、原作を愛するものからみると、かなり悲しい仕上がりだ。主人公たちが、たまり場にしている「クイーンエリザベス」という店のカウンターに並んでいる(しかも、この酒だけしか並んでない)「クイーンエリザベス」という酒は当時、角川が売り出そうとしていた酒である。片岡義男という商業主義とは、もっとも遠い原作を、もっとも商業主義的な角川映画がまちがって料理してしまった。そんな感じである。しかし、浅野温子はとてもきれい!
タバコや、酒や、バイク、ロック。
1970-80年代の若者たち。
心ってのはやっぱり単純じゃないし、そう簡単に生きられないね。
少なくとも今だけは何も考えずにやりたいことをやってたいよ。
でも・・・。
って、夢やら、目的やら、恋やら、なんやらって、いろんなものを内に秘めてる若者たちの、表に弾けてくる行動をドラマとして切り取った短編5編。
ちょっと昔の青春フィルムをみている感じでおもしろかったです。
木曜日の向こう。
飽きあきしている毎日の週末前の出来事。
都会に棲む男(オトナ)たちへ。
独立していっそう美しい女性たちへ。
それぞれの想いが交錯して都市(まち)はゆるやかに週末へ。
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