この本が出版されることなど知りもせず、愛妻を「統合失調症」と「解離性障害」の鑑別診断の為に、著者の外来を受診させました。
「先生、私の病気治るよね?」(198p) ・・・著者は、解離性障害の当事者に向かって診察室ではっきりと言ってしまうのです!。「だいじょーぶ!」と。
「解離性障害になってしまった人の多くは、芸術家であり、詩人であり、・・・本当に愛すべき存在なのですよ」と彼は言うのです。そのような「感性」を持つ精神科医に出会ったの初めてのことでした。
現在の国内で、治療者の視点ではなく当事者の視点で解離を理解しようとするなら、これ以上の文献はないと思います。
「(高価な)医学書ではなく、一般書で出版したのは、あなたのような(解離性障害を持つ)人のためですよ!」とニッコリ語る著者は、一癖も二癖もあるとても魅力的な「人間」です。
当事者、家族、介護者、支援者、そして精神科医にお勧めの1冊です。
私も、以前、強迫性障害でした。当時は、この本が出るずっと前で、森田療法を行い治ることができました。私が治った経験と照らし合わせても、本書の内容は、有意義です。
現在、強迫性障害に対し、薬(SSRIなど)の治療が大半ですが、それでは、部分的な改善、もしくは効果が現れない人が多いのも事実です。
しかし、本書で紹介している行動療法(暴露反応妨害法)によって、改善する人は多く、既に強迫性障害の治療として、実績も十分です。しかし、日本で(認知)行動療法を実施している機関は、残念ながらまだ少ないです。
でも、治療がうまくいけば、強迫は治る可能性のある病気なのです。本書が、症状の改善に役立つことを祈ってやみません。
「強迫性障害を理解しよう」の章は、ポイントが2ページごとにまとまっていて、気持ちの余裕がなくても読める感じでした。図やイラスト、さまざまなケースのマンガもついていて、「そうなのか〜」「そうなのよ〜」って感じで、わかりやすいです。悩んでいる家族にも、いいなあと思いました。 「ERP(←治療法)の実際」の章は、圧巻でした……。とても工夫して具体的に解説されています。6日間のプログラムや、3日間の集中トレーニング、読んでいるだけでドキドキするけれど、「やってやるぞ」と勇気が出てくるような!(私は強迫性障害ではありませんが、ついその気になって読んでしまいました・汗) 本人・ご家族・周囲の人に、すすめたい本です。
精神医学と言うのは医者が100人いたら100種類の診断が出る,と言うような医学である。
いわゆる発達障害(重い自閉症、アスペルガー症候群~上記二つは自閉症スペクトラムである。
注意欠陥多動性障害、学習障害など)は、これまでも、今も、統合失調症などと、誤診され続けてきた。
これは、知識のない「(自称)精神科医のせいである」と著者はいう。その通りであると、私も全面的に賛成する。
(自称)精神科医は、発達障害者がいじめられたことのよって、二次障害として発症した「うつ」に対し、
大量の抑鬱剤を投与し、薬剤による,三次障害を招くといった、悪循環を繰り返している。
本書は,そういった事例を豊富に提供し,セカンドオピニオンの大切さを訴える。
ま「もう一人お医者さんに聞いてみたいのですが」と言えないひとは,診療するときにこの本
を持って行き,先生の机の上にさりげなくおいてみるという手もある。逆効果でしょうか。
と,そんな気遣いをしなくても良いほど,セカンドオピニオンが当たり前になればいいと思う。
私は,この著作の上巻のレビュウーで,「心療内科」を名乗る医師は危ないと書いたが、
著者は心療内科医である。心療内科は,精神科に行くのは少し抵抗があると言う人には、
敷居が低くなり、良い診療科目だが、それを逆利用して,勉強も何もしていない医者がこれを掲げ、
リタリンなんかをお手軽に処方することが問題であることを述べたかったのである。
著者の仕事に対する卑下の気持ちは全く持っていない。
精神医療のいい加減さも私は問題だと考える。DSMー''4(アメリカ精神医学会)ISD-10(WHO)の
判断基準の扱い方も検討されていない。同じ判断基準を使っていて違う診断が出るのは何が問題なのか。
発達障害の診断には、今の状態ばかりではなく,生育歴が大切なことさえ知らない精神科医も多いのではないか。
精神科医,は精神分析という手法をどう見ているか、その態度を明確にするべきだとも思う。
でなければ,自由に、なんでも言いたいのであれば、治療に臨む精神科医であることを止め、
精神分析家のできる文筆家としてでも暮らしを立てればよいのである。
韓英恵は「眼」に力がある女優だ。初主演作品とは思えないほどの佇まいが本作成功の要因ではないか。佐藤監督の手腕も大いに関心があったが、俳優としての芸風を上手く活かしながら、シュールな中にも確かなメッセージが伝わる秀作に仕上げたと思う。登場人物もひとクセある役が多く、劇中でも「ウザい」といわれるくらいに(ムダな)セリフの多い山本剛史は特に映える(笑)。観客も当初は絶対に「うるさい」と思うのだが、途中からはその「ヘン」さがとても面白くなる。また韓の父親役、宅間孝行の存在感も抜群だ。他、セリフがないチョイ役で池内博之や岡田義徳が顔を見せていたり、佐藤監督の人脈がわかる。岡田義徳なんてバスの中で寝ている会社員役だからね(笑)。エキストラでもこんな役受けないだろうって・・・。ストーリーは強迫性障害で苦しむ繭子を、同じ環境で苦悩する父の弟が癒していく、というもので、ラストカットを観ると弟役の佐藤二朗は「幻」的な役だったことがわかる。変に押しつけがましいシーンもなく、久し振りに心地よい日本映画を観たという感じだ。特典映像は20分ほどのメイキングが収録されていて、非常に和やかな現場がこれまた心地いい。韓英恵はもっと注目されていい女優だ、と改めて思った。星は4つです。
|