ブーレーズ先生がヴェーベルンに深い愛情を若いころから注いでいらっしゃったことはよく知られています。まさにヴェーベルンに対する愛の結晶とでも言うべき全集です。 この全集を耳にしたときの感動は言葉に言い尽くせないものがありました。特に交響曲の透明感や管弦楽のための6つの小品の細部にまで目の行き届いた演奏はヴェーベルンの理想とした響きではないでしょうか。二十世紀の遺産のひとつといっても過言ではないです。
鍵盤楽器は、その機能をどのように利用するかでまったく異なる演奏効果がえられる。ピアノは鍵盤により操作する、ハンマーが弦を叩く打楽器であり、チェンバロは鍵盤により操作する撥弦楽器である。また、オルガンは、鍵盤による操作される管楽器である。本作品には、それらの機能を十分に生かした作品が納められている。チェンバロはバロック時代の楽器と思われがち(きめつけられがち)であるが、本作のなかではつづれ織のような様相をみせる。非常に美しい。また、オルガンは管楽器特有の持続音を活かした持続するクラスターを聞くことができる。従来の鍵盤とは異なるものを聴くことができる。お勧めです。
ただし、最後の曲の終わり方が・・・こんな曲だったかしら?とちょっと残念
練習曲集は、1980年代以降に書かれたバリバリの現代音楽。アフリカ音楽にヒントを得たポリリズムによる技法が駆使されていて、他に類をみない響きが聞こえる。しかし、技法だけでなく楽想がすばらしく、純音楽的ななかにすばらしい響きが。ドビュッシーやバルトークのピアノが好きな人なら、文句なくおすすめ。一方、ムジカ・リチュルカータは、作曲年代が練習曲より古い音楽なので、かなり違う。少ない音の中に、躍動感を持ったダイナミクスがあって、練習曲とは違った魅力がある。エマールの演奏は冴え渡り、リゲティの素晴らしさが堪能できる素晴らしいCD。
晩年のメシアンと親交があったケント・ナガノは積極的にメシアンの作品を演奏していますが、その中でも白眉の演奏です。特に至難なテクニックを要求するピアノをエマールという現代最高のメシアン奏者のサポートを受け一点の曇りの無い明快な演奏を繰り広げています。普通緩慢に陥りやすい「愛の眠りの庭」も極めて色彩的で耳を離せません。さらに「星の血の喜び」、「ファイナル」に見られる躍動的な演奏はチョンに比較できる唯一の録音です。
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