手塚治虫の旧約聖書物語 1 天地創造 (集英社文庫)
私は手塚作品が大好きです。どれも非常にストーリーが奥深く、読み終わったあとの余韻が大きいのです。佛教の祖、釈迦を描いたブッダも同様、大きな感銘を受けました。そのつもりで読んだら、がっかりしました。ストーリーは一話一話全く別になっているので、それぞれがあっさり終わってしまうし、加えて絵はアニメーションで見ずらいし。よってこの作品を購入されるなら、手塚作品としてではなく、本当に旧約聖書の入門書としてのつもりでないと、悲しい結末になるかと思います。
バッハ:オルガン作品集
あるところから、単なる気紛れからか、有名曲に飽きたからなのか、レオンハルトは突如としてこのようなマイナーな曲を集めたアルバムを出すようになった。大家としての彼を知るわれわれにとっては意外なことなのだが、実はレオンハルトは、バッハの成熟した時代の作品以上に、疾風怒涛時代の若書きの作品をうまく演奏することに長けている。それが端的に現れているのは冒頭に置かれたトッカータだ。
バッハの最初に購入するオルガン曲としてはあまりにマニアックなアルバムだが、二枚目あるいは三枚目のアルバムとしては適当だろう。また、本アルバムの演奏に惹かれた方は、チェンバロ作品集である、「組曲ホ短調」その他が収録されているアルバムへ進んで頂きたい。
The Voice
CMなどではじめて聞いたときに、いい声だなと感じた。高音も美しいが、やっぱり低音がほんとにすばらしい。温かみがあって、スケールのある、心が落ち着く歌声だと思う。それから、詞を一つ一つ大切に発音しているので、声と相まって歌がすごい存在感を持つ。
ただし楽曲はいまいちかな。しょーもない曲もあるし、普通すぎる。もっといろんな曲が聞きたいと思う。“Jupiter”なんかはやっぱり彼女の良さを生かす曲だと思うけど、他の曲は声の存在感に対してちょっと物足りない。このままJ-Pop的なものに収まっちゃうともったいないなあ。
この人の声を存分に堪能できる曲がたくさん生まれることを楽しみにしています。
「大脱走」「荒野の七人」/エルマー・バーンスタイン自作自演 with RPOポップス
「荒野の七人」・「十戒」、そして「大脱走」。収録されている全13曲を通して聴いてみると、タイトルを知らなくてもテレビなどで耳にしたことのある曲が非常に多い。これら堂々たる名曲を残したエルマー・バーンスタインだが、その名前は日本では意外なほど知られていない。このCDはそんな彼の業績を再認識する上で、貴重な録音と言えるだろう。
演奏はどちらかというと軽快な感が強い。「大脱走」や「ゴーストバスターズ」などその系統の曲が多いせいかもしれないが、とにかく聞いていて楽しい。一方「十戒」など重厚な曲は映画音楽としてではなく、ひとつのコンサートピースとして見事に蘇っている。
中には映画音楽として古典的存在になっているものもあるが、それでも使い古された感はなく、どちらかといえば斬新だ。「自作自演」という最もこだわりぬかれた形で残されたこの録音は、ひとつのいい指標になるだろう。