65歳以上の高齢者が人口の50%を超え、独居老人世帯が増加し、共同生活の維持が危機的な状況に陥った集落のことを、「限界集落」、というらしい。その現場をリポートしたのがこの本である。市場自由化等による林業や稲作農業の衰退、過疎化・少子化による学校の統廃合、市町村合併による村落の周辺化などにより、集落の再生産力は著しく減退しており、今後、423の集落が10年以内に消滅する、ということである。
愕然とさせられる。が、著者(写真家)はそうした状況を丁寧な文章によって淡々と記述し、集落を取り囲む自然やそこで暮らすじいさんばあさん達の姿や表情を鮮明な写真でうつしだしていく。その文章に妙な感傷や社会告発意識はほとんど見られないが、けれど各地の集落住民たちの生業の困難さや、若者に見放されたような気のするさびしさ、過去にあった不幸な事件や、未来に対する展望の持てなさ、等々がそこには簡潔に記され描き出されており、これが数々の美しい写真とあいまって、強烈な印象を残す。
情報量(含む問題量)が多くて、CD-ROMも付いていてお得感あり。現在、MBAのコースで勉強中ですが、参考にしています。
波というのは ボーっと眺めるものだと思っていた。 サーフィンのようなマリンスポーツを するわけでもないので、 じっくり「波を読む」ようなことも するわけがない。 ところが、だ。 この写真集に切り取られた「波」は、 ただの波ではなかった。 いや、普通の波に違いないはずなのに、多くを語りかけてくる。 そして受け手は、そのすべてに耳を凝らしたくなるのだ。 この写真を撮った梶井氏は、佐渡在住の僧侶でもあるという。 きっと私が感じること以上のものを、 佐渡の海の波から感じているに違いない。
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