久しぶりに再読してみた。永井さんの文章は、かっこつけない、等身大の姿が描かれているのが好印象だ。確かに全体を読んでも直接的に「医者をやめた理由」が書いてあるわけではない。しかし、読んでいて、「ぼくには医者が向いていないんだ」というのは伝わってきた。
Harrisonの素晴らしさは今さら書くまでもありません。 英語は比較的簡明で、非常に良くまとまっています。 ただ、でかいし重い。持ち歩けません。
18th editionにはiPad版があり、私はそちらを購入しました。 highlightやannotationも付けられるし、検索が圧倒的に便利。iPad 3rdの精彩液晶で読めます。 またiOS5の長押し辞書機能が使えるので、読むスピードがかなり上がります。 $199.99なので値段的には少し安い程度ですが、iPad持ちであればおすすめです。サイズは1.2GB程度です。
「ぼくが医者をやめた理由」というタイトルなのに理由が書かれていないと怒ってはいけない。「医療のここがおかしい!」と真正面から批判するよりも、日常業務の中で感じたかすかな違和感、「こんなのはヘンだ」という意識を書き留めた方が、細かいニュアンスが伝わるというものだ。
永井先生、ありがとうございます。
あなたが亡くなったことを知ったのは、医学生になってからでした。
ニートをしていた俺が医学部を目指そうと思ったきっかけは、
『僕が医者をやめた理由』を読んだからなのです。
あなたの『やめた理由』を読んで、俺は医者になろうと思ったわけです。
変な話ですね。
永井さんが、医学部受験に対して俺の背中を押してくれたと言っても、
決して過言ではないのです。
そのあなたが死んだなんて。
いや、死んでいたなんて。
あなたと俺は知り合いでもなんでもないので、
涙こそ出ませんが、それでも深い悲しみに襲われています。
永井さん、あなたは俺が知らない間に船医になっていたようですね。
船医は俺が将来やってみたいことの中の一つです。
偶然というかなんというか、医学部受験の背中を押してくれたあなたが、
いつの間にか俺が将来なりたい船医になっていたとは。
船医は楽しい職業ですか?
楽しかったですか?
貴方はもういない。
俺の手元に、あなたが書いた数冊の本があるだけです。
悲しい。
悲しいです。
いつか、機会があれば、あなたのお墓にお参りさせてください。
俺は、あなたより長生きをします。
あなたより色々なことをしようと思います。
そして、そういったことをお墓に報告させてください。
俺の背中を押してくれた人として、
その後の俺の人生の報告くらい聞いてくれても良いですよね。
精神科医となった今、この道を選んで良かったと心から思います。
あの時、背中を押してくれてありがとうございました。
遅ればせながら、いつか俺が報告に行くまで、安らかにお眠りください。
ニートをしていた一人の人間を医師という職業に就かせる。
そういう不思議な力を持つ本だと思います。
東京都内の私立医大をでた彼が研修医時代の挿話などを
興味深く描いている。
医師がどうあるべきかを問う誠実さにこころを打たれます。
しかし、病院の管理者などをシニカルに描いていますが、
やや書生論的な面を感じます。
病院論、組織論の原図を見ますが、やや違和感を覚えました。
現代の医学の問題点を浮き彫りにしています。
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