この本はずっと以前から買おうか、どうしようかと迷っていました。が、買ってよかったと思いました。八人の著者はいづれも そうそうたるプロの作家達。作品が素晴らしいのは当然といえます。大人向けの本と違うのは綺麗な水彩画が載ってること。 難しい言葉や古い言葉は欄外に絵入りで説明が付いていること。いままでに読んだ作品も載っていますが、まったく違う感覚で 読むことができました。子供たち、そして毎日の生活に少し疲れた大人たちにお勧めです。
他者と主人公の非対象的な関係をじっくり描く村上春樹の作風を踏まえたら、彼が日本文学講義で選んだ作家たちが「第三の新人」のものばかりだったという事実が興味深い。戦後思想や私小説の文脈から切れた内向的な作品を扱った彼らの短編小説に滲む、作家の不安や情念、そして戦争の体験。そういった「リアルなもの」に関する作家の奥底の「狂気」(=春樹談)、「自己」と「自我」「他者」とのせめぎあいなどを丹念に作家ごとに比較して論じていく姿勢は、それがそのまま極上の「春樹小説の読み方」につながっていく。
良く出来た読書案内であると同時に、凡百の「春樹論」をよむのがバカバカしくなる究極の種明かし本でもある。この本を読む前と後では、春樹小説の読み方が確実に変わると思います。
新幹線のなかで読もうと手にしたこの本。とても読みやすく、しみじみしました。高齢者とはどんなことを考えて、日々過ごしているのか、片鱗が感じられます。自分もあっという間に、同じ立場になるのだろうと思うと、とても勉強にもなります。まだご存命で、今年で92歳とか、驚きました。寿命と健康って、不思議ですね。
とても素晴らしい本です、前半、人間の生活とは本来こおゆうものなのでは?と実感させられます。実際あった出来事なのでかなりリアルです。
学生時代からの友人である近藤啓太郎氏に、半ば強引に押し付けられた紀州犬のコンタ。最初は渋々だった著者だけれど、一緒に暮らすうちにコンタの性格をこよなく愛するようになります。犬は飼い主に似ると言いますが、(著者は認めていませんが・・)扉ページのコンタとの写真を見ると著者とコンタは顔つきまでそっくりに見えるではありませんか。
犬好きの作家仲間の逸話も面白く、ダルメシアン→ダメニシアンなど笑えます。(おねしょした布団をかぶって歩いているような犬だそうです。)15年の間寝食を共にしたコンタ。「コンタの上に雪降り積もる」この文章の中に著者がいかにコンタを慈しんできたかがあらわされているように思います。
ユーモアのある文章、思わず笑ってしまうようなエピソード、べったりしていない犬との関係。とても読み応えのある本でした。
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