ソバの香りがふわっと鼻に抜けるおいしいソバでした。ただし、食感は少しモソモソ感があります。本来のソバ粉100%の打ちたて茹でたてのソバならば口の中でふわっと溶ける、という感じになるのでしょうが、半生に乾燥しても香りが飛んだり茹でた時にソバが切れ切れにならないよう、特殊加工された新製法のそば粉を使っているとかで、そこはやむをえないところなのかもしれません。あるいは、説明書の指示よりも茹で時間や・蒸らし時間を長くしたり、乾麺と同様、茹でる前に5分ほど水に浸けたりするといいのかもしれません。なにはともあれ、十割そばの乾麺よりはずっとおいしく、値段も手頃で、保存もある程度は可能なようなので、これから茹で方等をいろいろ研究しつつ長く愛用しようかと思っているところです。
もうすぐ50歳 その前にこの本を読みました。 普通に生きていくことができれば平均余命は30年。医療の進歩なども考えれば40年も可能。 今が未来からみれば一番若い!今が一番齢をとっていると思うと後ろ向きになり 「あのころはよかった」と 一気に老け込む。 あの頃がいいわけがない!常に社会は進歩、進化しているから。 いろんな災害も人災もみんな乗り越えてきた。 その時代には本も読めなかった、テレビもなかった、 もちろんパソコンも車も、携帯電話も、、、やっぱり今が一番便利でいいはずだ。 そしてその今が続く。明日の自分と今日の自分は何が違う?何も変わらない。 ただ肉体が確実に一日分衰えていくか、いや精神的に成長していると考えるべきだ。 そんな前向きにしてくれる本でした。
読売新聞の広告で本書の存在を知りすぐに購入して読みすすめた。「著者10年ぶりの単行本書き下ろし!」という文言が気になったが、「悪道」なるタイトルもまた魅力的に思えた。以前に文庫『悪の条件』を読んで以来、「悪」を真正面から描き切る筆力に作家の真髄があるのかもしれないと勝手に思い込んだせいもあろうか。とにかく400頁におよび徳川綱吉元禄時代のなかで多彩な人物を登場させ、それぞれが背負う宿命や悲哀ぶりを読み応えに富む文体で奏でた本書はやはり傑作である。ラストまでの緊迫感がたまらない。長編だが中断することなく一気に読ませてくれる。
もともとは本格社会派推理小説の先駆的存在として知られる著者だが、近年は時代小説、さらには俳句の創作活動も活発におこなっている。本書は著者のこれまでの作風すべてを結集して仕上げた作品だ。芭蕉を登場させ、彼の足跡を伏線とするシナリオからも強いこだわりが感じ取れる。こうした作品には史実についての正確で豊かな知識はもちろん、それらを駆使して壮大なストーリーを淀みなく展開していく構想力が不可欠である。単なる「お話」ではない。森村誠一だからこそ書きえたのだ、とおもう。
今であろうと昔であろうと奥深い<人間ドラマ>には読者の心に響く何かがある。その人間ドラマに共感するかしないかは別にせよ、人間が「生きること」・「死すること」の意味、そしてまた「悪」といういかなる人間も決して逃れ得ないもの(宿命)をはたと直感するとき、本書は極上の人生哲学書としての風味をも奏でるのではないだろうか。われわれ人間とはいかなる存在であるのかを突きつける世界への扉が本書である。多くの人に広く推奨したい。
「森村誠一シリーズ」は中学3年の時にTVで見たのですが、放映された作品の中で、私の心に一番強い印象を与えたのが、この「腐蝕の構造」でした。原子力開発を巡る、政界、財界、官界の癒着、その中で翻弄される研究者たち・・。そうした日本社会の構造的問題=「腐蝕の構造」に鋭いメスを入れつつも、その中で、必死に愛に生きる痛々しい男女の姿がリアルに描かれています。TVで見た後、角川文庫で原作も読みましたが、間違いなく、この「腐蝕の構造」は社会派ミステリーの最高傑作です。長く、DVD化されることを待ち望んでいたので、本当に感謝です。
当時、私はTVを見ていて、雨村(篠田三郎)は本当に飛行機事故で死んだのだろうか?、と最後までドキドキしながら見ていました。そして、雨村の行方を必死に捜す妻:久美子(島田陽子)の清楚で美しい、それでいて、芯の強い女性の姿に深い共感を感じました。また、途中から彼女を助ける謎の男:大町(松田優作)と久美子との関係、特に夫に対する疑惑が増して行く中で、大町に心を寄せ始める久美子の心の揺れ動きにも、熱いものを感じました。
最終回、すべての謎が分かったとき、この社会の中だけでなく、真実の愛を求めながらも、それを得ることのできない人間の罪深さ、人間の心の中にある「腐蝕の構造」の根深さについても考えさせられました。そういう意味で、本作品は社会派ミステリーでありながらも、人間の心、特に男女の心のひだを深く考えさせる傑作だと思います。
さらにこの作品のテーマ・ソングは、小椋佳さんの『心のひだ』ですが、まさに、この作品にピッタリの良い曲ですね。わたしの中では、小椋佳さんの『心のひだ』と『腐蝕の構造』は切り離すことができないぐらい強く結びついています。また、本作品のキャストも最高です。皆さん、個性溢れるすばらしい演技をなさっています。特に島田陽子さんと梶芽衣子さんの美しい女性同士の対決も見ものです。島田陽子さんは、本作の主人公ですが、わたし自身は、清楚で美しい彼女の魅力がとてもよく出ていると感じました。全七話の長編作ですが、最後まで見るものを飽きさせない作品だと思います。
現在、テレビドラマで放映されています。 やはり小説とTVはニュアンスが少し異なるように思います。 違いを確認したい人は一度お読みになってはいかがでしょう。
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