劇場版Ｓ&Ｍの後半。
元々一本の映画を二本のＤＶＤで分けちゃったから
緊張感が持続しないのが少し惜しい。
元カノの娘、妻、会社の後輩から見た男像。
また、これが女の目から見ると共感できるから始末に終えない。
（原作よりも誠が好青年に描かれているから余計にｗｗ）
三人の立場と目的が複雑にからみ、怒涛のクライマックスに逝きます。
決着をつけるのは男、振り回されたのは結局女。
奥さんのラストの台詞には感動しました。
結局、皆自分を偽っても平穏と愛を守るんだな。
Ｈシーンは前半より無いのですが、人間ドラマは濃いっす。
エロ映画ですが、にっかつロマンポルノっぽい作りです。
どちらかといえば女性向けな内容かもしれません。
原作とはまったく別な作品として、当方映画館で鑑賞しました。
よって、原作から外れた、映画そのもののレビューですのでご容赦ください。
普通のエリート会社員として生きてきた誠が
生まれも境遇も世の中からまったく外れた沙那という女に
人生と家庭を壊されていくお話。
同時に沙那の母と誠の因縁も描かれていく。
徹頭徹尾、沙那(川村りか)は子供のような無邪気さを持った執念さで
誠を追い詰めていく。
武器は女のSEX(あえて伏字にしません)とストーカー。
沙那の母親を(偶然に)破滅させた男への復讐のために。
まるで駄々っ子のようである。子供のような無邪気さで。
映画で明らかになってくるのは沙那の悲惨な境遇である。
たぶん、母親には一度も愛されていないのだろうな・・・。
自分も記憶にない母親を唯一知っている男への憎しみは強烈である。
男の家族を手にかけることも辞さないのだが、
それは自分が今まで持てなかった家族に対する憧憬ではなかったか。
誠の娘が沙那になっていた可能性だってあったのだ。
りかさんは俳優は初めてされていたそうですが、
子供のまま大人にならざるをえなかった沙那を上手く演じられていた感があります。
あるいは沙那さんの演技が偶然映画にはまったのかもしれない。
一方、誠(小田井涼平・・・実はこの方は業の深い人物を演じられると
絶品である)は何不自由なく幸せな家庭を築いていたのだが、
沙那の乱入によって家庭も職場も崩壊していく。
目の前のささやかな幸せを守るために、
自分を犯した女に邪険にして抵抗するものの、
家族を人質にされている為、むせび泣くように
沙那とのSEXに巻き込まれていく。
最初はギャグ風味の映画だと思っていたのですが
ひたひたと一室に閉じ込められ冷たい水が
じわじわと流し込まれるような恐怖が喉元まで上がってくる感覚・・・。
沙那と誠のSEXは快楽よりも恐怖と苦痛、そしてどこか哀しみに満ちている。
ささやかな幸せを奪われる誠の哀しみと愛されたことのない沙那の哀しみと。
SEXそのものが恐怖と哀しみで描かれる映画は珍しいかもしれない。
そうだ、まるで、渋谷の円山町のように饐えた匂いを画面から感じるようなSEX.
冷たい水が分水境を越えようとした瞬間、誠は状況を打破する為に
機銃掃射にも似た行動ですべての状況を解決してしまう。
あまりにも爽快であります(ついでに視聴者は爆笑します)。
おかげで映画の陰鬱としたイメージも消えてしまう。
賛否両論あるラストかもしれませんが、一旦人生をリセットする寓意としては
よくできているのではないかと。
この結末があるから涼平氏が誠だったのかと絶句し納得感動しました。
最後、男はいつもの日常に戻り、女はリベンジを目論んで終わる。
沙那以外の時間は流れているのに沙那は子供のまま。
憎しみからは何も生まれないが、憎しみしか知らない女性もいるかもしれない。
憎しみのアンチテーゼのお話。
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