自ら銀行の幹部まで上り詰める一方、作家として多くの小説、とくに経済小説を送り出してきた山田智彦の、最高傑作。のみならず、日本の企業小説のなかでも最高峰の作品である。
90年代以降、破綻と合併の中で、日本のメガバンクは3大グループにまとまってきた。おそらくこの小説はその一断面を素材にとったものであろう。
巨大銀行の働き盛りの行員で、互いに親友同士という数人の男たちを中心に話は進んでいく。そこに持ち上がる合併の話。同期の友人たちは、各々合併賛成・反対の幹部たちに重用されることになり、友情と立場との間で微妙な位置関係になっていく・・・。彼ら出世競争もからんでくる。
そんな人間関係を描きながら、しかし昼ドラ風に暗くならず、さわやかな後味がのこる物語である。このような筆力を持った人はそうはいないだろう。
のちにNHKでもドラマ化され、好評を博した。
題名にこだわるつもりはないが審査部25時というより、審査部終日と言った方が適正か?。商社にこのようなセクションを設け関連企業を逐次チェックするなど銀行でもそれほど聞かないテーマはおもしろい。債権回収の手際よさと緊張が読者を引き付ける作品だ。一般文学459作品目の感想。2012/10/24
政治倫理とでもいうものを、如何に現代社会に形成するかを思い描いている。 ただし、理想と現実を繋ぎ合わせようと苦心するあまりに、構成された権力体勢と、新規または対抗勢力との闘争形態が曖昧模糊となってしまっている。
実は、臨床心理学をずっとやってきた私が社会学に出会った最初の著書がこれなのですが、本著は最前線で活躍する社会学者が夫々のテーマをわかりやすく解説した社会学の入門書です。 日常会話やわたし達が無意識のうちに何気なく行っている儀礼的行為、性の常識、歴史の常識などなど・・・様々な「あたりまえ」を構築主義の紹介と共に問い直してくれます。 読み終えた後、周りを見る目が変わった快感が忘れられません。 目の前の世界をチョット変えてみたいアナタへ、オススメの一冊。
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