読売新聞をバックに何かと話題になる方です。あの時はこの人はこのように考えていたのだという、表に出ない、示唆に富んだ話が盛りだくさんです。 2007年の大連立構想でたたかれた経緯と「無税国債」についての記述は秀逸です。そういったご自分の意見の部分が面白く語られます。さらに魔女狩りにも似たポビュリズムを蔓延させたこの国の現在に至る歴史と見解を述べています。 すべてに同意はできませんが、この方の考え方には敬意を表して、承ることができます。とてもおもしろい本でした。
幕末~明治におとらない、現代日本史上最大の変革期を圧倒的な情報量、資料に基づきかいまみせてくれる。
例え敗戦国であっても、将来の復興の為に、アメリカのいいなりにならないよう必死に抵抗しながら、ぎりぎりのところで妥協点を見いだして行く外交姿勢は、今の日本にはもう期待できないのだろうか。。。
たろうや、はとぽっぽの爺ちゃんたちの時代。そんな昔の話ではないのだが。。
久しぶりに読んだ大嶽さんの本でした。20年前に出たあの名著”日本の防衛と国内政治”の中で、大嶽さんは、自信を持って、”政治学なるものが日本政治の分析に対してなしうる貢献”を語っていたわけだけど、この中で描かれている現実の日本政治の姿は、あまりにも悲しいね。政治だけではなく、それを取り囲む世論の枠組みも、グロテスクな姿をさらしているだけのようです。過去の日本の新聞が垂れ流していた幼稚な”戦争と平和”という善悪二元論は、確かに消えました。でもそれに代わったのは、テレビにより、無差別に流される、”腐敗と改革”という別な二元論です。でももはやこれは二元論というよりは、視聴率だけをメルクマールとした知性の退化としかいいようのない、シニシズムというのがその実態!のようです。この現状に対して、著者は成熟した現実主義、道徳禁欲主義からの脱却、つまり可能性としての政治の復権を提唱します。著者は必ずしも絶望してはいません。なぜなら著者によると、防衛問題については、90年代の日本は非武装主義を克服することに成功したからです。最後のあとがきで述べられているテーゼ、”今日の日本政治にとって最大の不幸は、改革派が常にマクロ経済的には、誤った政策を掲げ、政権をとったとたんにそれを推進してきたことにある”は、政治学者である著者の政治学を越えた大胆な結論です。
いい本に出会えました。
一気に読んでしまいました。
今の日本の閉塞感の正体がわかった気分。
ゲーテは本当に大衆社会の将来を憂いていました。
著者はB層を批判するのは無意味と言っています。
それよりもB層が拡大した原因をつきとめることが大事だと。
そして著者はこれまでの大衆論では不十分だと警告しています。
オルテガ、アレント、ニーチェなど過去の賢人の言葉を引用しながら、
新しい形で論を進めるのは著者の本領発揮でしょう。
内容はコンパクトにまとまっていて、単行本にしてもよかったと思う。
それでもお気軽なのがいいです。
「二大政党制批判論」で、これまでの日本の二大政党制を巡り、それを過度に理想像とした「通説」に果敢に挑んだ著者が、現代の政治の特徴である「ポピュリズム」の本質に切り込んでいる。
「ポピュリズム」を否定的に言及することが通例である中、著者は、ポピュリズムの持つ「情念」が、実は民主主義にとって不可欠のものであるとして、積極的な面を見出している。
特に第3章「議会制民主主義の危機」についての分析で、著者は、たとえば、事業仕分けが「信念を共有する一部集団」によって「外部からの改革圧力」という手法をもって行われたが、このようなやり方は、どこか遠いところで自分の運命が決められるという感覚を呼び、人々の不満を呼ぶという側面を正当に指摘している。
今後とも継続して直面することになる「ポピュリズム」について考えを深めていくために一読をお勧めする。
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