原題はBAD TIMING。男と女がうまくかみ合わないことを意味している。でもタイミングが悪いのではなくて性格の違いが最大の要因。
サイモン・アンド・ガーファンクルのガーファンクルが役者をやってたというのをこの作品で初めて知ったが、線の細いインテリのアメリカ人精神科医を演じている。
なぜかそんな男に一目ぼれしてしまう女(メレーナ)を演じるのがテレッサ・ラッセル。キャサリン・ターナーにちょっと似ている。この女、美人でエロくてノリノリでとっても魅力的なんだけれども、好き放題に生きるということを信条にしていて、当然のことながら真面目なガーファンクルとはそりが合わない。
許せないことに若いメレーナには50代くらいの夫がいる。このオヤジもどうやってメレーナを手なずけているのか作品中では描かれたいないが、ガーファンクルには、「夫は愛していない。あなたが私の中心」的なことを言うくせに、ガーファンクルが一緒にウィーンからモロッコへ引越ししようとか、結婚しようとか真面目に申し込んでも、いつもはぐらかす。へんな男友達も多くて、平気で抱きついたりキスしたりするもんだからガーファンクルにはたまったもんじゃない。
ストーリーは、メレーナが自殺を図って病院に連れて行かれるところから、ハーベイ・カイテル演じる刑事の捜索という時間軸的に未来へいく話と、メレーナとガーファンクルが出会ってからの過去から自殺にいたるまでの話が、二重写しのようにかぶって展開される。
同じ場所、同じ状況はタイムマシンのように時間が行ったり来たりする。
でもデビッド・リンチの作品みたく難解ではないから安心してください。
流れる音楽もとても美しい。リチャード・ハートレイが音楽監督になっているので、ガーファンクルの作品かどうかわからないけれど、ガーファンクルっぽい。かみ合わないパズルを悲しくそして美しく演出してくれる。
男と偽ってフランスで父親の密輸業を手伝っているヒロインは、父の密輸業を邪魔するイギリス人を探すために、ロンドンの貴族であるヒーローのもとに送り込まれます。
ヒーローは昔、ヒロインの父に川で溺れたところを助けられた恩があったので仕方なくヒロインを預かることに。
しかし勘のいい彼はすぐにヒロインが女性だと気づいてしまいます。追い出されるのではないかと心配したヒロインですが、なぜか追い出されたりせず、このまま、しかもヒロインの秘密を守ったまま滞在させてくれるとのこと。
なぜ無条件で滞在させてくれるのか、なぜ男と偽っているのか、お互いに興味を抱きながらも本当のことを隠す偽りの生活が始まります。
男装の麗人というと颯爽とした格好良いイメージがありますが、この作品のヒロインは男の姿をしながらも女心が見え隠れするなんだか可愛い女性です。
ヒーローに心惹かれ、美しい姿を見せたいという女心が疼くのか、ショーウィンドウのドレスを眺める姿はキュンときます。
ヒーローが時々見せるヒロインの女らしさにグッときて、ついつい甘くなってしまうところもなんだか微笑ましいです。
必見は、やはり作者もお気に入りだといわれている、ヒーローがある舞踏会で女性として着飾ったヒロインを見たときでしょう!男装物の特権というべきシーンで、まさにロマンスの醍醐味を堪能できます。
さらに密輸業関連の波乱のなかでも主役二人のラブっぷりが炸裂するのでこちらも見所です。
他にもグッとくるシーンが多く、気づけばあっという間に読み終わっていました。たくさんの方に読んでいただきたいお勧め作品です。
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