真昼の暗黒 (岩波文庫)
2009年のベストワンはこの小説かもしれない。
1937年のブハーリン裁判とスペイン内戦時代の作家自身の死刑宣告と投獄経験を重ね合わせた小説。
本作に就いては、みすず書房のPR誌『みすず』恒例の読書アンケート特集(2010年1・2月合併号)での冨原眞弓の紹介が簡潔にして秀逸だ(同誌p44)。
なるほど冨原も指摘するように、ユートピアの希求がなぜに収容所(ディストピア)へと帰結するのかを問う本作は、徐々に形而上学的な色彩を帯びてくるが、「スターリンやトロツキーを知らなくても、ジャコバン主義やスペインの異端審問のことを知らなくても、哲学史にまったく興味がなくても、読書の愉しみは一ミリグラムもそこなわれない」とは至言であり、この点ではドストエフスキー作品と同様とも言えようか。
革命の理想や倫理的高尚は常に頓挫する。権力は絶対的に腐敗する定めであるが、人間的倫理・徳目である義侠は背信へと、理性は迷妄へと、矜持は怯懦へと変節していくのは何故なのか? 結局のところ、革命の目的意志における倫理的な要請と革命後の統治システムは別のものと見なければならないということではないのか。
西郷隆盛やゲバラ、さらにはあろうことかカストロをも倫理的・道徳的大人として称揚する樋口篤三(『社会運動の仁義・道徳』同時代社)あたりの「左翼指導者=道徳家」論は無効且つ不毛ということではないか? 犯罪的と言ってよいかもしれない。
ドストエフスキーの「水晶宮」(『地下生活者の手記』)が一番に想起される。人間は何にでも慣(狎)れてくるものであり(『罪と罰』)、なおかつどこかに行くべきところがなければ生きていかれず(同)、「ににんがし、2×2=4(=死)」と成り果てる。
それは慟哭にも価する悲惨であるが、人間の腐敗は個人的な資質を排除できないにしても、それに全的に責を負わせることもまた無理があろう。「我らの歪んだ英雄」たちは、その実、英雄でもなんでもなく、一人の卑小な人間に過ぎないのだから。尤も当事者の免責が担保されるわけではないのだが。
この点を回避しようとした統治システムの一環として、柄谷行人が提議した統治者選びの「くじ引き」には一理あるようにも思われる。
ワンス・アポン・ア・タイム
noon の温かい歌唱が好きでデビュー以来ずっと聴き続けています。今回も懐かしの名曲を味わい深く歌っていました。
冒頭の懐かしの「ケ・セラ・セラ」は焼きなおしではなく、彼女の持ち歌へと上手く昇華させていました。軽やかだけれど説得力もありジャジーでじっくりと聴けば味わいがより増してくる歌唱でした。
6曲目「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド(この素晴らしき世界)」での優しい歌唱を聞くと幸せで温かい気持ちになりました。♪草木は緑で 赤いバラが咲き 空は青くて 雲は真っ白 ぼくはひとりつぶやく この世はなんてすばらしいんだろう♪というハート・ウォーミングな懐かしい世界が広がっていきました。リスナーを夢心地にさせる能力もまた得難い個性の一つだと認識しています。
スキーター・デイヴィスが1963年に歌い大ヒットした「ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド(この世の果てまで)」を懐かしい感じでカヴァーしていました。ブレンダ・リーの歌唱も思い起こしましたが、noonの春風のような軽やかで少し鼻にかかったコケティッシュな歌声はとても甘く伸びやかです。
ドゥービー・ブラザーズの名曲「ユー・ビロング・トゥ・ミー」をしっとりとジャジーに歌いあげていました。ドゥ・ワップ時代の曲ですが、歌唱法をかえるとまた違う魅力が感じられました。
ラストのベッツィ&クリスの「白い色は恋人の色」は、noonが生まれる前の曲です。オリジナルとは微妙にメロディが違いますが、これはこれで味わいが伝わってきます。小沼ようすけのギター伴奏が素晴らしく、繰り返し聴きたくなるような優しさに包まれていました。
Songbook
今までのアルバムの表紙は全てnoonが映っていたのですが、今回初めて可愛い動物のイラストで飾られています。もっともリーフレットの中には彼女のステキなポートレイトが満載していますので、ファン心理を良く知っている編集でした。
歌詞カードとは別に、すずき玲子さんの全曲の対訳が付いており、女性を主人公とした日本語で綴られています。視点を変えると知っている音楽の情景がまた違って見えるのも乙なものでした。なおリーフレットに解説はありません。
皆が知っているポップスを選んでいます。有名な曲だけに個性をださないと印象に残らないわけですが、ここでは彼女の持ち味である軽さが際立っていました。しっかりと歌うことは比較的簡単ですが、力を抜いて歌唱するというのは大変高度なテクニックを要します。その意味ではずっと上手くなっていますし、自分の強みを良く知っているということになるでしょう。
その軽さが春風のような軽やかさをもたらしています。少し鼻にかかったコケティッシュな声は他にない魅力ですからデビュー以来ずっとファンに支持されているのでしょう。リスナーを夢心地にさせる能力もまた得難い個性の一つだと認識していますので。
「JUST THE WAY YOU ARE(素顔のままで)」のように誰もが口ずさんだような懐かしいポップスを温かい歌唱で展開しています。彼女の声質にあっているだけでなく、他の歌手にない母性回帰をもたらすような趣を感じました。癒し系ですし、オーガニック系と言われるイメージ通りです。
「YOUR SONG」はオリジナルとは違う軽やかなビートを利かせ、暖かく懐かしい雰囲気を醸し出しています。音程が正確ですし、英語も魅力的ですので、何回も繰り返し聴きたくなるような優しさに包まれていました。
better than anything
既に相当数の作品が出回り、何時の間にか人気者、といった感のある彼女だが、やはりこのデビュー作が私にとってのベストである。もちろん、単に収録曲の個人的な好みということもあるだろう。だが、それ以上に、デビュー作なのに一番のびのびしている感じがする。#9【Nothing But A Fool】。速いテンポ設定の曲を舌足らずに唄う彼女がキュートだ。数年前、ラ・カーニャでのライブでも唄ってくれたのだが、最高だった。
AMON [ エーモン工業 ] AODEA [ クルマいじりをもっと楽しく! ] ロードノイズ低減プレート10枚入 [ エーモン ] 2667
シートとサスペンションに装着しました。シートに装着すると今までアスファルトのゴツゴツとしていた感覚がジワ〜と浸み込むように吸収されてる様になりました。ただサスの装着はシャッキリだったステアリングフィールが損なわれてフワフワとしていて落ち着きません・・・・。こちらは好みが分かれると思います。