原発の後始末 (青春新書インテリジェンス)
福島第一原発は使用済み核燃料や原子炉内の溶融燃料の取出し、原子炉本体の解体と廃炉に目標は2051年だ。原子炉圧力容器は10年後も超高濃度放射能で、最困難な燃料搬出の遠隔作業はどの程度出来るか。独ビュルガッセン原発は1995年運転停止し、ロボットでの撤去作業は7年遅れている由。日本は諦めず除染作業を決めたが、問題の放射性廃棄物の仮置き場設置すら難しい。表土・枝・落ち葉・洗浄水等々は膨大な量であり、圧縮しても仮置き場の後の保管場所、中間貯蔵所や最終処分場が無い。これまでの使用済核燃料は大量に溜まり、或いは廃炉解体撤去の原発瓦礫まで様々な放射性廃棄物がある。核分裂生成物の高レベル放射性廃棄物(HLW)は、廃液を水分蒸発させ濃縮し、ガラス原料と混ぜステンレス製のキャニスター(直径40cm、高さ130cm、重さ500kgの円筒形)に流し込み、冷やしてガラス個体にし、地下で保管の計画が、六ヶ所村ではうまくいかずに中断中。2020年までに英国から850本のガラス固化体が日本に戻される。またこれまでの原発から出たHLWは大量で、六ヶ所村と東海村も限度がある。2000年に原子力発電環境整備機構(NUMO)が最終処分場の公募(文献調査で年10億円、ボーリング調査で20億円の給付、電源三法による潤沢な交付金給付)をするが候補地は決まらない。核燃料サイクルシステムが完璧に稼働する国はない。地球には約25万tの廃棄物があるが、最終処分場は世界のどこにも存在しない。フィンランドが2020年にオルキルオトの計画だけだ。オメガ計画(各種の核変換で半減期を10年以下にする)も2050年頃の実用化に莫大な費用と広大な施設建設が必要だ。福島第一原発の解体撤去・廃炉も大量放射性廃棄物の行き場はない。他の原発を止めても廃炉廃棄物が増えるだけ。また中国やインド等が大量原発建設を推進するが、中国で深刻な事故が起きれば偏西風にて日本は壊滅する。更にテロ攻撃も受ければ、世界中で放射能汚染が拡大する。原子力の優秀な学者もいなくなる。原発を止めても使用済み核燃料の最終処分問題は続く。結局は原発廃止でも、原発存続でも、いずれも将来の地球上は何処も彼処も汚染が進むだろう。何せHLWの捨て場所がないから深刻だ。