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椰子の実 島崎藤村作詞 大中寅ニ作曲





Piano Nightly
クオリティの高さにただただ驚くばかり。無駄がなく響きの美しさを最大限に引き出すピアノの音の選び方、かわいらしくも十分に重かったりする歌詞の数々。これだけ完成度のアルバムを聴いてしまうと巷に溢れている音楽が安っぽく感じられてしまう。個人的には、アグネス・チャンの曲がここまで素晴らしく変われるのかという驚きを隠せなかった。私にとって昭和の歌謡曲を見直すきっかけになった。これからも時々ながらずーっと聴き続けると思う。

 

破戒 [DVD]
日本が世界に誇る撮影監督宮川一夫さんのカメラがとにかく息を呑むような美しさ。ちょっと信じられないくらいに冴え渡っています。 雷蔵は勿論、長門裕之、三国連太郎、船越英二、岸田今日子、宮口精二、あげくは中村鴈治郎に杉村春子などなど、もはやこれ以上は望めないというくらいの大物俳優たちによる怒涛の競演です。 しかもこれほどアクの強い俳優さん達が、決してお互いのよさを打ち消すことなくさりげなく自己主張しているところに監督の確かな力量が伺えます。これがデビューの藤村志保さんも、決して美人とはいえないものの、かえってその普通の人っぽさが作品に奥行きを与えるのに大きく貢献していると思います。ただ、この人の声だけは、やっぱりデビュー当時から印象的だったんですね。

しかし市川監督は、(周知のことですが)どんな感動的な題材を扱っても、決してむやみに観客に涙を流させる、というような演出をどうもなぜか意図的に避けるタイプの人のようです。例外は"ビルマの竪琴"くらい。そのため、どうも痒いところにいまいち手が届かない、と感じる観客も多いのでは? この作品も、監督の世界にある程度通じている人でないと満足はし難いかもしれません。 でもジャケットも超シブイし、豪華ブックレットつきで、この値段の値打ちは間違いなくあります。
一説によると、松本幸四郎主演でこの作品の前に製作されたテレビ版"破戒"のほうがもっとすごかったらしいです。ぜひ見てみたい。


 

漢文スタイル
『漢文スタイル』というタイトルを聞いた時、人は、何を想像するだろう? 日本での教育を受けた人であれば、中学・高校の授業科目であった「漢文」をまず想像してしまい、あの時に培かわれたステレオタイプ=漢文、という先入観を持つに違いない。
ただし、ここで言う「漢文」は、中国のみならず日本を含めた東アジアの知識人層の教養の基礎となっていたエクリチュール+思考のようなもの。本来難しいものなのだろうが、斉藤氏のエッセイは、それを優しく優雅に切り開いてくれているので、楽しく読め、知識も増える。この『漢文スタイル』を一読した後は、不思議なことに、詩人・旅人・隠者たちが綴った文章の断片に、様々なものが見えてくるようになる。単なる意味ではなく、美、運命、予言、呪といった様々なイメージがコトバから湧き出してくるのを感じるようになる。掘り起こされたコトバの記憶が突如輝きを放ったのを見たら、あなたは、もう、この世の住人というよりも、漢文脈で綴られた宇宙の住人。
個人的にとりわけ好きなエッセイは、「詩讖」や「詩妖」に関する一節だった。「讖(いん)」とは、予言であり、経書が経(たていと)の書であるのに対し、讖の解釈が書かれた書物は、緯(よこいと)の書、つまり緯書と呼ばれていたらしい。中国では、詩人が読んだ詩が予言となることがしばしばあったという。言葉が運命を変えるという根強い考えが長くあったわけだ。また、「詩妖」は、作者はわからないが、民間や子供の間に流行った奇妙な流行り歌などが政変や天変地異を予言することを指す。歌と呪は同根であるからに、「一見して奇妙な歌でなくても、歴史の文脈によって何かの前兆となる可能性は、すべての歌に含まれることになる」と、齋藤氏は言う。近代以降、私たちは言葉は人間が操るものという概念を持っているけど、本来は、コトバの織り成すに見えない運命の糸に絡められて生きているのだと思う。

著者の斉藤希史さんは、2005年サントリー学芸賞漢文脈の近代―清末=明治の文学圏の著者であり、東京大学大学院総合文化研究科の准教授。

 

破戒 (新潮文庫)
 自然主義文学、と言えば、人間の醜い面までをそのままに描くと言う印象が強いです。僕もまた、そう思っていました。露骨な描写で、泥沼化しているとばかり考えていました。しかし、この作品はそういったイメージとは無縁な様です。
 作品全体に部落の差別問題が絡んできます。学校の教師である主人公は部落の出身。父親に絶対に自分の身の上を明らかにしてはいけない、という戒めを堅く守って生きていました。しかし、そのために同じ出身でありながら、自分の身の回りで部落出身者が虐げられているのを見ても、社会の流れに逆らえず、助けることも出来ません。
 同じ場所、同じところで、自分はまるで部落出身者でないような顔をしている。なぜ部落の出だからと言う理由で、そういった目に遭わなければならないのか?
 そういった感に主人公は悩まされ続けます。
 そして対照的な生活を送る部落出身者、猪子蓮太郎。自らを部落出身者として世間に恥じることなく、赤裸になって活動する壮士。生い立ちを恥じずに生き、問題を解決しようと必死な彼の姿に、主人公は心動かされます。
 最終的に、主人公は、自らを部落出身者だと、生徒に打ち明け、海外に旅立ちます。ここで、てっきり主人公の事を軽蔑するかと見えた生徒達が、主人公を部落出身者であっても、世話になった先生として慕い続ける姿勢にとても感動しました。
 けっして泥沼でなく、感動させられるストーリーだと言えるでしょう。
 他にも、貧困にあえぐ、家族や思いを寄せる女性、金のために動く弁士など様々な伏線があり、非常に物語性の強い作品になっています。
 自然主義だから、と敬遠せずに読んで頂きたいです。

 

破戒 (まんがで読破)
島崎藤村といえば「初恋」と思っていましたが・・・「破戒」がこのような作品だとは知りませんでした。「なんで人間なんかに生まれたんだ」という主人公の苦しみや悲しみ。そして皆が抱えている苦しみ。決して戒を破りません!という悲しい誓い。父親の愛情や友情、裏切り
そして思いがけないラスト。ぜひご一読をおすすめします。

 

島崎藤村 動画


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