ゲイ@パリ 現代フランス同性愛事情
脱字、誤植が多い。文章ならば脳内変換で正しく読み直せるが、本書は統計数字なども多く扱って
いるので正しいのか間違っているのか疑問を抱かせてしまっては説得力に欠ける。校正はしっかり
して欲しい。
明らかに誤った解釈が有る。例えばゲイの象徴としての Le triangle rose = Pink triangle を
「赤の三角形」と訳し the fight against AIDS の象徴である Red ribbon の赤色があたかも「赤
の三角形」の「赤」に由来しているような記述が有るが全くの間違いである。
このように多々欠点が有り全体の正しいであろう論調を疑わしい物に変えてしまっているのはしご
く残念。これは著者と編集者の責任が大きい。
とはいえ内容は非常に興味深く参考になるので一読を勧めます。
事実婚 新しい愛の形 (集英社新書)
「心と心の実質婚」という帯のコピーに惹かれて購入。
渡辺淳一といえば、近年はすっかりエロス&男の身勝手な願望爆発の恋愛小説ばかり書いているというイメージだったけれど、いやあ実に真面目な本なものだからビックリ。あえて入籍という形をとらない、でも単なる同棲よりは確かな「事実婚という新しい愛の形」について、体験者のケーススタディや弁護士との対談、さまざまな年代の未婚女性たちとの座談会、スウェーデンやフランスにおける事実婚制度の紹介……などなど、多面的に掘り下げているのだ。
事実婚は、まだ日本では法的に認められていないためデメリットも多い。だからこそ、事実婚をスタートする前に、さまざまなことを(日常の家事や生活費の分担から、生まれてくる子供の姓をどうするか、愛情が冷めて別れるときの財産分与まで)二人で話し合い、了解し合って、それをできれば弁護士を介在させて文書化しておくといい、と著者は勧めている。これって事実婚に限らず、一般的な結婚においても大事なことかもしれない。文書化どころか、話し合いもせずに流れで結婚しちゃうケースがほとんどで、一緒になってから「こんなはずじゃなかった」と思うこと多いんじゃないかな。結婚前に、二人でとことん話し合うことで、お互いの違いが見えてくる。自分という人間が本当は何を望んでいるかもわかってくるような気がする。
著者は、「別に自分は事実婚を勧めているわけじゃない。こういう選択肢もあることを知ってほしいだけ。いろんな選択肢があるのを知って、読者一人一人がそれぞ自分に合ったスタイルを選べばいい」と言う。私だったらどうするだろう……と考えて、自分がけっこう世間の目や常識にとらわれているということに気づかされた。そういう意味では、なかなか奥深い一冊かも。
私の婚活恋愛術 [DVD]
はっきり言って盛り上がりのない映画だと思います。それをカバーしているのは主人公の可愛さとシーンごとに変わる華麗なファッション(主人公はファッション誌に勤めているので、服のセンスもなかなかのもの)でしょうか。うーん、でも美女のトイレシーンは見たくなかったな。いくらコメディ映画でもこれは下品だ。ヌードのシーンはないですが、なまじっか普通のヌードシーンよりも下品だ。
ラブコメとなっているが、主人公は冷めていてなかなか恋愛にエンジンがかからない。笑えるほどおかしいのかというと、笑えたのはオーランド・ブルームが出た最後のシーンくらいか。やはりアメリカ人の笑いのツボと日本人の笑いのツボが違うのか。
「婚活恋愛術」というタイトルにはなっているが特に恋愛テクニックを披露するという映画ではない。そもそもこのタイトル、今日本で婚活がブームになっているからあやかって付けた感じ。現題は「LOVE (and other disasters)」婚活は関係なさそうです。
軽い気持ちで見るのはいいのではないでしょうか。
私の婚活恋愛術 [DVD]
リュック・ベッソンが製作総指揮として名前を連ねているラブコメということで、めずらしいジャンルにどういった展開を作るのかと興味を持ちました。
ある意味、彼のいつものアクション系にも見られる、一風変わったところとしては、ゲイとストレートというはざまに折重ねるように展開しているところかもしれません。
それとラブコメといっても、アメリカンな軽快な明るいテンポだけではなく、ちょっとねじれを効かせつつも、モノトーン的に感じるものであり、小気味よい笑いというよりも、なにかウィット性に乏しくフットワークがイマイチなように思います。
邦題タイトルよりこの作品をイメージすると”婚活”というキーワードはちょっと違うような気がします。
原題の「Love and Other Disasters」という”Disaster”は”思いがけない不運・不幸”を意味しており、邦題から期待するものとはずいぶん違うということが分かります。
いずれにしても、主人公演じるブリタニー・マーフィが、ゲイの友だちの恋を実らせようとバックアップしていたところが、”とんでもなく思いがけない勘違い”で、相手は実はストレートであったというところ。
ゲイの友達を含めて周りはそのことを知っていたにもかかわらず、彼女だけはゲイを信じ込んで、不可思議な結婚を彼女から申し込むというものです。
なぜフランスでは子どもが増えるのか -フランス女性のライフスタイル (講談社現代新書)
著者はフランスの文化の特徴の一つとして「ミクシテ(混合社会)」を挙げます。
「ミクシテ」とは男女間においては色っぽい関係を維持しながら共生することだそうです。
これは「男女七歳にして席を同じゅうせず」のような文化の対極してとらえています。
この「ミクシテ」の伝統により女性は母親であるより美しい女性であることが求められ
それが却って「母親になる(心理的)負担感を軽くし、子供を産むことに抵抗がない」
という逆説になっているとのことです。
この部分は著者の経験と小説などから考察するエッセイ的なものだと思います。
また、カトリックは結婚を「神が一つにしたもの」として離婚を認めないので結婚に対するハードルが高く、
パクス(連帯民事契約=同棲)が一般的になり、婚外子が増え、巡り巡って出生率が高まったのではないかとしています。
日本でも、男女別姓、嫡出子と非嫡出子との権利の平等化等の議論が進んでいますが、
他国との文化的宗教的背景の差異はもっと考慮に入れるべきではないかと思いました。