アルベニス:イベリア 全曲
アルベニスのイベリアは、本当に難しい曲集である。楽譜に向かうと、人間では演奏不可能と思うくらい面食らう。
ラヴェル「夜のガスパール」やラフマニノフのピアノ協奏曲第3番、リゲティのエチュードなどといった、いわゆる難曲がどちらかというとリストによって開拓されたテクニックを想像可能な範囲でより難しくしてみた、という感じである一方で、イベリアの場合は、天から全く降ってわいたような特殊技巧を要する。登場する美しく精緻な和声の数々も、全くお目にかかることのないような音の組み合わせばかりである。
ラローチャはこうした曲を本当の共感を持って弾き抜いている。もはやあえて賛辞を述べる必要がないほどの名盤なのだが、技巧的課題を完璧に克服したうえでの、文字通り身体から湧き出るリズムと音楽が聴かれる。
若い頃のEMIへのイベリア録音は、確かにこのデッカ録音よりも活気に満ちたリズムで、技巧面の切れ味もより鋭いが、たとえばエル・アルバイシンやエル・ポーロといったスペイン的叙情性とでも言うべき要素が強い曲におけるラローチャの解釈は明らかに深みを増しているし、デッカによる録音はそうした深みのある響きをずっとよく捉えている。
須永辰緒 MIX CD WORLD STANDARD NO.4-A Tatsuo Sunaga Live Mix-
~待望の「World~~ Standard.」シリーズ第4弾が登場。
邦楽と須永辰緒ワークスを織り交ぜたコンセプトアルバム。既出の第2弾に近い内容となっている。
ただこのアルバム、須永辰緒作品を知る人と知らない人で評価が別れるのではないかと思う。
自分は須永辰緒の自称「おっかけ」なので、彼が手がけた作品も多く知っている。故に今回のMIXは新鮮味に欠ける選曲が多かった。
須~~永ワークスが中心のセレクトなので(もちろん新曲も入ってるが)曲に彼独自のテイストが盛り込まれているのはいいのだが、かえってどの曲も似たアレンジに感じられるのだ。
特に中盤の展開は曲調がどれも似たような感覚で、すぐ聞き飽きてしまった。
MIXは今回も美しい出来映え。須永ワークス初心者なら間違いなく楽しめる。でも番長リスナーの玄人さんには少し~~物足りないんじゃないかな。~
陣借り平助 (祥伝社文庫)
戦国時代を舞台に仮想の人物「魔羅賀平助」が大活躍します。
織田、浅井、北条、武田の四つに陣借りをするんですが、作者独自の
武将の描き方(魔羅賀は、家康の命の恩人になってるし)があって読
んでて楽しいです。
でも、後半は魔羅賀の生い立ちが軸になっているので、前半の勢いが
半減している感じ。
表紙で気に入った人はぜひ読んでみて下さい。