フィンランドのフォークメタル、コルピクラーニの2012年作 2003年にデビューしたからすでに8作目、その愉快なフォークメタルは本作も不変であるが、 アコーディオンの音色と森の蛮族めいた歌声で聴かせるサウンドはよりパワフルになっていて、 本作ではフィンランドの叙事詩「カレワラ」をテーマにしたエピックな雰囲気も強く出ている。 バンドの看板であったフィドル奏者のヒッタヴァイネンが脱退したことも影響してか、 ヴァイオリンパートがやや減っているのだが、その分ギターのヘヴィさが前に出て、 サウンドの迫力が増している。随所に激しい疾走も含んだこれまで以上に重厚なアルバムだ。
余りにも衝撃的というか、アホっぽいPVのため「宴メタル」という色物臭い帯がついているコルピクラーニである。確かにPVを眺めるだけなら色物メタルである。
しかし、先入観抜きで音楽を聴いてみると、同じフィンランド出身のヴァルティナと似た、日本人好みの哀愁があるメロディーに満ちた良い楽曲が多い。
本アルバムの2曲目「コルピと古の黒き賢者」などは、ヴァルティナが演奏していても違和感が無いほど。
北欧民族音楽が好きならば、いかにもメタルなメンバーの写真やPVに惑わされず(!?)に一度聴いてみる事を強く推奨する。無論、メタルバンドとしても秀逸である。
2→3→1の順で聴いたので(まるでドラクエみたいだな)、うお、ドラクエ進化してる! もといコルピクラーニ進化してる! という印象が強くて、1より3の方が評価が高かったりする。1はまだ民族的な要素が強くてメタルっぽさがそんなに全面に出てないのかなと思ったけど、3はかなりメタルしていて尚かつ民族音楽的な要素ととても調和している。メロディアスな疾走メタルの好きな日本の音楽シーンには受ける音楽だと思う。私も大好き。首を振るというより腰を降って踊り出したくなってしまう!
普通のバンドのインストゥルメンタルはぶっちゃけ退屈極まりない曲が多いが、コルピクラーニの凄いところは、インストゥルメンタルも歌アリ曲も同じ以上のテンションを持って聴き入らせるところだ。こんなバンド今まで知らないよ! インストゥルメンタルの恐るべきクウォリティは相変わらず否それ以上。どいつもこいつも来日を願ってアルバム買うべし!
ヨンネ・ヤルヴェラ(vo,g) ケーン(g) ヒッタヴァイネン(violin) ユーホ(accordion) ヤルッコ・アールトン(b) マットソン(dr)
フィンランド出身酒飲みメタル・バンド。年1枚のペースを崩すことなくアルバムを出しており、早くもこれで6枚目。2009年作。
バンドの方向性については既に2ndあたりで完成している彼ら。このアルバムについても特に新しいことをやっているわけでもない。ある意味マンネリともとられそうだが、彼らのサウンドは不思議と飽きることがない。やはりオリジナルのスタイルを確立しているバンドは強い。
#1 "Vodka" #8 "Brings us pints of beer" などの定番酒盛りソング。16世紀のロシア・フィンランド戦争について歌った曲。そして、フィンランドの叙事詩「カレワラ」を元にした、まるでAmorphisのような文学性をもつ詞の #7 "Kultanainen" (しかし曲自体は安心のコルピ節)まで幅広く、ただの酒飲みパーティ・バンドではない深みを感じさせる。
前作でわずかに見せていたダークさを払拭し、陽気で愉快な勢い重視の暴飲暴食民謡メタルが炸裂する。
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