一読、とにかく前向きで明るいのがいい。
どうしても、
「自分がその立場になったら」という、
共感を持って接しようとすると、
それ自体は悪いことではないのに、
重たくなってしまう。
でも、
多くの親たち、特に母親は、
そういった共感の次元を超えて、
現実に向き合っていることが、
あらためてよくわかった。
「深刻に受け止めて何が救いになるのか、
何か有効的な方策が手に入るのか、
って思ってしまいます」
というお母さんの言葉はすごいと思う。
それでも、
お母さんたちの「願い」は、
やはり、厳しい現実を映している。
幼いころから、変わった子として扱われてきましたが、こうした「生きづらさ」は 単に、原病だけではないと改めて思わされた本でした。家族にも、障害を指摘された子が いましたが、自身の問題としてとらえたことがなかったからです。 そういう意味では、今のこの歳になって、つまづいたことに気付いた一人といった方が いいのかもしれません。でも、生きづらさはあっても、素直であることや、人よりも 感受性が豊かであることを、今後、何かに生かし続けていけたらと思います。 本当は、何よりも、社会全体の理解が必要なのでしょうが…。
改めて「普通」の意味を考えてしまいました。僕らが何気なく日常で「普通」「普通じゃない」と区別していること、でもどこからどこまでが「普通」で、どこからが「普通じゃない」んだろうか。本当はその境目「境界」なんてないのかも知れません。誰だって得意なことも苦手なこともある。スポーツが苦手な人もいれば、勉強がからっきしダメな人もいる。そのかわりとても歌がうまかったり、絵が上手だったりもする。そんなでこぼこがあってはじめてその総体が「そのひとらしさ」なんじゃないのだろうか。でも少しでも大方のひとの平均値からはずれる部分があると、「普通じゃない」と見なされ、その人に不利益が生じる。それが今の社会のシステムのようです。
この本を読むと改めてそんなことを考えてしまいます。しかし著者の山下成司さんは常に暖かいまなざしで「境界に立つ」こどもたちの表情をそのまま伝えてくれていることが救いです。僕らの生きているこの社会が誰にとっても「居心地のよい場所」になることを願ってやみません。
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