この事件が実際に起こり報道されたとき、「なぜそんなことが起こり得たのか?」ととても疑問に感じていました。この本を読んで、背後関係などはわかったけれども、それでもやはり、疑問が完全には解けません。
しかし、巻末解説のサイコパスへの言及を読んで、少しわかった気がします。「生涯を通じて他人を魅惑し、操り、情け容赦なくわが道だけを行き……」まさに主犯の吉田純子そのものです。
サイコパスまでは行かなくても、非常に自己中心的で強い人格というのはときどきあります。そして時として人は、そうした人格に魅力を感じる。途中でうんざりして離れることが多いにしても……。なぜなんだろう? 太古の昔、強いリーダーに導かれて延命を図ってきたという遺伝子が、そうさせるのか?
ルパンシリーズは欠かさず観ていますが、五右衛門ファンにはぜひ観ていただきたい作品。 何作重ねてもキャラの性格が変わらないルパンシリーズ。五右衛門も例外ではなく(笑)、女の子に弱い五右衛門、今回も、昔一緒に修行したという女の子に翻弄されてしまい、ルパンと敵対することも。 それでも最後はルパンと共に、斬鉄剣の誇りをかけて敵(珍。ルパンはちんちんちゃんと呼ぶので、面白い)を斬る?!
私は「カディスの赤い星」の頃から逢坂剛のファンです。
逢坂作品をすべて読んでいるわけではないのですが、8〜9割は読みました。逢坂剛は話作りが上手い作家で、外れが少ないと思います(西部劇は酷かったけど)。
そんな逢坂剛の作品でも、イベリアシリーズは最高傑作の一つに挙げられると思います。
本作はイベリアシリーズの第6巻。第二次世界大戦の大勢が決まった1945年5月までの話となります。
他のレビュアーの方も書かれていますが、私も本シリーズはヴァジニアと北都の恋愛ストーリーとして読んでいます。しかし本作第6巻は、ヴァジニアも北都もほったらかしの展開が多く、話自体も淡々と進むため盛り上がりに欠け、映画のシナリオを読んでいるような気分になりました。
しかしそれでも、私は逢坂剛のファンであり、本シリーズの贔屓なので、☆4つ付けるのであります。
ファンの贔屓目なんです。
本書の前半は、供述調書や裁判記録等の事実に基づき、残虐な事件の全容を再現することにあてられる。後半は、さらに一歩突っ込んで、筆者独自の取材に基づき、事件の背後に潜んだ警察・日産自動車の行った悪事を推論することにあてられる。 事件の残虐性にも驚かされるが、その背後にある警察内部の腐敗体質や警察と大企業の癒着の構造、家庭におけるしつけの欠如、といった問題の大きさに暗澹たる気持ちになる。問題の根が深いことに改めて気付かされた。
|