普通の内容のアルバムなら躊躇なくレビューを書いていますが、この名盤の前ではどんな言葉を重ねても音楽が伝わらない感じをもち、今日まできました。120件というレビューの先達に付け加えるような情報も言葉もなく、それでも書かずにいられない感情に襲われるアルバムはそうないでしょう。 これまで何十回繰り返し聴いてきた音楽ですので、展開も浮かぶのですが、それでも無性に聴きたくなるアルバムです。もっともキースの音楽の前ではどんな言葉やコメントも無力になると思っていますが。
「I Loves You Porgy」の冒頭の短音のつらなりから音楽の質の違いが明確に感じられます。 若き日の絶頂期の研ぎ澄まされた感性とは質の違う音楽です。スタンダード・ナンバーのメロディを崩すことなく、ハーモニーもさほど変化させることなく、一見淡々と弾いているようですが、彼自身の心の中との会話が感じられるような逡巡さえ伝わってきます。 繰り返しのパートも変化に富んだ展開ができるテクニックを持ちながら、音楽を重ねていきます。繰り返しテーマを弾く中で彼の心象風景にある思いが形作られていくようでした。
「Be My Love」も感傷的な色合いが強く感じられます。透明な音づくりは彼の特徴ですが、音の無い瞬間さえ音楽にしていました。アルバム・ジャケットの写真のようなモノクロの風景が漂うピアノ・ソロですが、淡い水彩画や水墨画の美を感じる音楽が詰まっています。音を重ね、和音の充実が如実に心を打つ後半部分でもただ心の赴くまま鍵盤と向き合う彼がそこにいました。
ピアニストとして円熟味を迎える年代での慢性疲労症候群という病気をどのように受け止めたのかは分かりませんが、ピアノに向き合える時間の尊さが理解できるからこそ、このような音楽が生み出されたのだと思いました。音楽に没頭するからこそ唸り声も自然に発せられるのでしょう。
幸せの絶頂期には到底紡ぎだせなかった音楽群なのは間違いありません。リスナーも精神の充実期に聴くと物足りない感覚を覚えるでしょうが、心が弱っている時、この音楽がどれだけ慰めになるのかは体感した人だけが理解できる境地だと思っています。
日独英共同制作の、『ついに出た』キース ジャレットのドキュメンタリー。 チャールズ ロイドからマイルス、アメリカン4、ヨーロピアン4、スタンダーズ、、と、映像資料満載。 ガルバレクが若い! キースジャレットが、しゃべっている。 生キースジャレットである。 感激!!!! 実は、僕はずっと、この人の 「Inner Views」 を、Keith Jarrettの生声朗読で出してほしいと思っているのだが、 彼の音楽についての思いが、『動画で』見られたことが、何よりもの感激だった。 冒頭部分で、improvisationの深さについて、『サラッ』と触れるのだけれど、そこを、もっと深く追求して欲しかった。 おまけヴィデオクリップ、もの凄く楽しみにしていたのに、プロモーター鯉沼氏のインタビューだった。 これは、いらん。 これがなければ星5つ。
1984年の「ラスト・ソロ」と1987年の「ソロ・トリビュート」として販売されたものをセットにして、廉価版として販売したものです。すでに私は2つとも持ってはいるのですが、悲しきファンの性、買ってしまいましたが。(値段も安いし)言わずもがなですが、作品の内容自体は素晴らしいものです。しかし、まず問題なのはこのパッケージ、写真で見ると、ラ・スカラ的な感じで期待していたのですが、大変扱いにくいです。(表現しにくいですが、長い紙パッケージで巻いて包む感じ)開け閉めするのに手間がかかるし、コンサートの記録を裏表紙に書かれても・・・。簡単に言うと、安っぽいです。
内容に関しても、旧版そのままです。映像面はやはり粗いままだし、音声に関してもPCMのみなんですよね。映像、音声面でのリファインやリマスターの様なことはできないのでしょうか?値段が安いので、余り贅沢は言えませんが。持っていない人にとっては買いだと思いますが、すでにお持ちの方は必要ないと思います。これからこういった過去の映像集が例えばブルーレイといったメディアに移行したり、あるいはリマスターといった作業がなされることをファンの一人として願います。キースのソロの映像は他とは比較しようのない唯一無二のものと思います。それだけの内容なんですから、最高の形で次世代の音楽ファンへ伝えるようにしてほしいと思っています。
久々にラジオで聞いたケルンコンサートを耳にしたら衝動的に欲しくなりました。 在庫もあり即納いただきました。感謝です。
このページの登録情報には“リージョンコード: リージョン1”とありますが間違いです。 ケース裏面に“Region Code 0”と明記されています。
評価は同内容のDVDのカスタマーレビューをご覧ください。 僕が評価するのもおこがましいので、このTrioの他の公式CD・DVDで聴くことのできない曲を列記するに止めたいと思います。
【STANDARDS I】収録分 「I Wish I Knew」 「Rider」 「Delaunay's Dilemma」
【STANDARDS II】収録分 「With A Song In My Heart」 「When You Wish Upon A Star」 「Love Letters」 「Georgia On My Mind」
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