全音楽譜難易度でレベル5あたりなので、上級向けだと思います。私はピアノひきではありませんが、なぜか衝動的にこの楽譜を買ってしまいました。ショパンの幻想即興曲のような派手さはないものの、流れるような美しいメロディーは「即興」というには、惜しいくらいです。曲の規模もかなりでかいものが多いです。
ピアノ曲は色々聴きますが、中々僕好みの曲には出逢えませんが、シューベルトの即興曲は、私の中ではかなりストライクゾーンです。
ショパンエチュードやクラマーエチュードのような、綺麗なメロディーと早いパッセージが交錯する点では、僕の中ではピカイチな譜面です。もっぱら、音源を聞きながらこの楽譜を目で追っています。弾けるともっと楽しそうですね。
バーバラ・ボニーは、見た目よりずっと若々しい声をしています。 ボーイッシュなショートカットがお似合いですが、声質もボーイッシュ・ソプラノ。
このCDには、シューベルトの代表的な歌曲がもれなく(男性の心を歌った作品は除く)収録されています。 どれも本当にいいのですが、今回初めて聴いた“糸を紡ぐグレートヒエン”という曲はすごいです。 シューベルト初期の作品なのですが、女性の不安や、戸惑い、精神的な痛みというのがほとんど映像を伴ってこちらに伝わってくるようで、解説には“この曲が作曲された1814年10月19日はドイツ・リート誕生の日と言われるほどだ”と書いてありますが、確かに納得できます。ボニーも全曲中最も熱をこめて歌っているようです。
一番最後に収録されている“岩の上の羊飼い”という作品は歌曲としては破格の11分以上の曲です。 伴奏のクラリネットがなんとなくブラームスのクラリネット5重奏曲を思わせるような雰囲気を漂わせていますが、そのうきうきするような高揚感はまさにシューベルト。 これほどの作品集がこの値段なのは本当に驚きです。 断然お勧めします。
かつてレコード全盛の頃に、このようなクラシック全集が数万円で 販売されていたことを考えると、本当に良い時代になったと思います。 聞き慣れた趣味者に言わせれば、音質やチョイスの仕方に不満がある でしょうが、とりあえず有名所を聞いてみたい興味・関心のある中学生や 高校生でも、購入できる価格帯であることは高く評価できます。 これはあくまでも、広く聞いてもらうための初心者用なのです。 購買層は趣味者にあらず。そのような方は、はじめからターゲットでは 無いのです。
本当に内田光子の演奏は素晴らしい。見事という他ない。内田氏の演奏はあたかもガラス細工のように繊細だ。それでいて弱々しさは感じさせない。彼女の演奏は極めて理知的で計算され尽くしている。曲の全体の構成も綿密に行われており、演奏全体を通して1つの芸術を成している。アーティキュレーションが実に見事だが、それを完璧に行える技術の高さも見逃せない。完璧な演奏を可能にする彼女の精神性も相当なものだろう。彼女の演奏を聴いていると、彼女が作り出す音楽空間に引きずり込まれていく。真の芸術家とは彼女のような人のことをいうのだろう。必聴の一枚だ。
このDVDを見た感想は、次のブログに書きました。そちらを見て頂けると、うれしいです。http://ameblo.jp/wk89031clascic/entry-11337959754.html
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