80年代に作られた「ゾンビ」の亜流作品の中では なんだかんだ言われつつも面白いほうだと思います。
この時期に量産された「ゾンビ」のバッタモンの中で、今でもたまに見たくなるのは、 これとウンベルト・レンツィの「ナイトメア・シティ」だけですね。
その理由は、両作とも「最後まで飽きさせてやるもんか!」という、 製作者の旺盛なサービス精神、それと80年代のイタリア商業主義B級映画ならではの、 開き直ったバイタリティ、それらがなんか凄い(笑)と思えるためです。
閑話休題。 音楽についてです。 「ゾンビ」のサントラを流用しているのは有名ですが、 オープニングで「mugic by Goblin」と、堂々とクレジットされていることからも、 けっして無断借用ではなく、正式に許可はとってあるものと思われます。
それと、ダリオ・アルジェントの盟友、ルイジ・コッツイ監督作品「エイリアンドローム」の サントラからもゴブリンのスコアが流用されています。
ところが、オリジナルである「エイリアンドローム」よりも、 この「ヘル・オブ」のほうが何故か画面にマッチしてるんですよね。
都会で物語が展開する前者よりも、物語の舞台がジャングルである後者のほうが、 ゴブリンサウンドが妙にシンクロしているように感じます。
蛇足になりますが「エイリアンドローム」もDVD化して欲しいですね。
現代音楽の作曲家として有名なブルーノ・マデルナの指揮によるベルク「ヴォツェック」のオペラ映画。ほとんどが戸外で撮影されているが,時代としては鮮明なカラー映像だ。若きクルト・モルやユリナッチ(裏ジャケットの美人は彼女の演じるマリアではない)が見られるのがうれしいが,なんと言ってもインパクトがあるのはヴォツェック役のトニ・ブランケンハイムだ。その貧しさと苦悩を背負い込んだような顔と風体は,まるでヴォツェックその人のようである。社会の底辺に生きる内縁の夫婦(貧しいために正式の結婚ができず,子供も庶子扱いとなる)が救いがたい悲劇になだれ込んで行く様は何度見ても目頭が熱くなる。やや古い音質と,地声に近い発声で歌われていることが気になる人もいるかもしれないが,「ヴォツェック」に興味のある方なら一度は見ておくべきだろう。
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