小林泰三氏であれば狂気と恐怖に転移できる素材は幾らでも揃っているのだが境界ギリギリで踏ん張ってさっぱりとした娯楽作品に仕上げた模様。
さっぱりと、と言っても他の小林作品との比較であって中々にグロテスクで陰鬱で凄惨ではあるのですが、ホラー色よりもSFと冒険活劇に主眼を置いた作品になっているため
テンポ良く、王道と言っていいストーリー展開と所々に散りばめられたジョークやユーモアがバランスよく調和している。
巨大ロボットも小林氏の手にかかるとこうも生臭いものになるのかと感心させられる上、常識ほど非常識な概念も無いものだと思わずに居られない。
ザビたん可愛いよザビたん
2009年発行。気鋭の書評・翻訳・編集家大森望編集長による文庫本型の(いまのところ)年2回刊?の読み切り日本SF雑誌の第一弾。硬軟取りそろえた収録作品はどれも異様に気合いが入っていて,読み手としてはなんだか贅沢な気分。私は超絶の悪夢作家田中哲弥の「隣人」と,ベタなんだけどきゅんとする藤田雅矢「エンゼルフレンチ」,そしてやはり格が違う故伊藤計劃の絶筆「屍の帝国」がお気に入りです。
不思議な映像と ストーリー設定 ショートフィルムならではの凝縮された内容は必見
主人公の少女が自我に目覚めていくに従って明かされる恐ろしい過去。 重々しい雰囲気の中、気づくとこの濃厚な作品にひきこまれ、あっという間に ラストに向かいます。押しつぶされそうな世界の中に、多くを書き込まずその状況を知らしめる 作者の筆力に唸りました。 ラスト近くの、土砂降りの雨の中、悲しみにくれる少女の姿があまりにも印象的な情景で私の心に いまだに深く残っています。 生命とは何か。人間の尊厳とは何か。絆とは何か。 ホラーの根底にある人間の悲しみを描いた傑作。
以前から気になっていた作品だったので、思い切って買って読んでみました。
「玩具修理者」にあたっては、あらすじは大方予測できたものの、
描写にわたっては緻密で、洗練されており、自然にその光景が浮かび上がるような
どろどろとした恐怖感を覚えました。
しかし、私にとって一番のカルチャーショックであったのは、「酔歩する男」。
死ぬことも許されず、終わることの無い一生。幾重にも繰り返される日々。
平行世界など全く知識の無かった、私をSFの世界へ導いてくれた最初の作品でした。
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