原作は短編だそうて、鉄のカーテン時代の日本よりは恵まれたモンタナの未亡人の母と少年時代。中年は何となく同時代がオーバーラップして共感しそう。 かの国であの時代は若干オカルトがかっていて、叙事的な方の「事件」は引っ越してきた特殊な老人と政府の緊張関係として展開する。巷間の人間にはやや無縁な趣はある。 一方、叙情の方はあっさりと滅んでしまった大陸のタイトルと同様に短い子供時代のノスタルジックな友人・異性の出来事である。一寸主人公もハイアーなその道に入りかけたりする。 永遠に続くかと思われた少年時代を生きた覚えがある中年には特に、最後の章で殊にほろ苦い味わいが残るかもしれない、原作者の作風通りの一味違う掌篇。
大人のガーフィルド(ボビー)は、送られてきたグローブを手にして昔へとタイムトラベルするのです。 11才のボビー少年は近所のキャロルと大の仲良しです。(2人とも可愛い!)・・ バックに流れる懐かしい音楽と冒険心あふれた映像は スタンド・バイ・ミー と共通性があってナカナカいいものですね。 ある日、テッドと言う初老がやって来て、2階にいそうろうするうち、 だんだんと馴染んできて友情が芽生えてきます。 しかもボビーは予知知能力バッチリの不思議体験をするんです。 テッドは普通の人じゃなくてサイキックパワーの持ち主らしいですね。 しかもある大物たちに追われているんだとか・・ 母親は賢明に生きますけど、ビー玉(モラルのないオヤジ)さんにだまされて可愛そうですよ。 だからこそテッドとの葛藤は凄かったですな。・・ テッドが連れ去られるのを見送る場面は、胸キュンでした。
ボビー少年とテッドの友情に満ちた話はこころが暖まりますよね。 ミステリーな展開と芸術性に富んだ傑作品と言えるのではないでしょうか。
個人的にもキングのベスト3にも入る傑作で キング流の噛み砕いたファンタジー的要素の入った純文学で深い感銘を受けました 少年時代から大学時代、中年期、晩年までを中編と短編を組み合わせ大団円の一つ作品として終わらせる業はさすが キング作品は人によって当たり外れは大きいと思うし、日本人の感性には合わない冗長なモダンホラー作品もあるけど これは断じて忘れ去られるような作品ではない
家族ではない、うんと年長の友人をもつということは、男の子にとっても女の子にとっても、かけがえの無い幸運だ。世の不思議に対して明解な答えはなくても、少年が「自分と世界」について考えるきっかけになる。こういうのを、(中学生なら十分理解可能)夏休みの課題図書にするくらいの気のきいた世の中になればいいのにね。
「La vita ' bella(ライフ・イズ・ビューティフル)」「Nuovo Cinema Paradiso(ニュー・シネマ・パラダイス)」に負けず劣らずいい作品です。 素晴らしかったです。 私の中では、「アトランティス」=「アトランティス大陸」で、勝手に、古代文明の映画だと思っていました。 しかし、テッドが、「子どもの頃は、楽しいことばかりで、幻の国にいるようだ。アトランティスにね」と話すのを聞いて、隠喩だったことに気づきました。 アンソニー・ホプキンス扮するテッドは、「非常に徳が高く、聡明で、テレパシーも使う」と言われるアトランティス人そのものでした。 心に残る言葉ばかりで、これからも繰り返し観たい映画です。 アンソニー・ホプキンスはもとより、二人の子役、特にアントン・ヴィクトロヴィッチ・イェルチンは素晴らしい演技で、どんな俳優さんになったのかチェックしたところ、「ピープル」誌の「最も美しい人100人」に選出されたほど、素敵になっていました。 先日、読んだ宮下奈都著「誰かが足りない」の一文。「美しい記憶がそのままその人の美しさを支えるわけではないように、悲しい記憶が人のやさしさを支えることがあるように、いいこいことも、いったん人の中に深く沈んで、あるとき思いもかけない形で発露する」という文章と、オーバーラップした映画でした。
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