芥川也寸志: オーケストラのためのラプソディ/ エローラ交響曲/ 交響三章
芥川也寸志の主要作品3つがおさめられたアルバムです。演奏は湯浅卓雄指揮
ニュージーランド響で、2002年1月にニュージーランドで収録されています。
収録曲は以下の通り。
1.オーケストラのためのラプソディ(15:03)
2.エローラ交響曲(17:09)
3.交響三章(05:07、10:37、05:55)
芥川也寸志の初期、中期、後期の作品が1つずつということで、彼の音楽の
変遷がよく分かるアルバム構成となっています。楽曲もさることながら、
何よりも演奏がすばらしい。湯浅卓雄のきびきび明確な音楽運びとともに
ニュージーランド響の機動力ある明るい響きが特筆されます。
若書きの交響三章は、旧ソ連の大作曲家たちに認められて現地で出版された
作品であり、若き芥川の爽やかさと音楽的な熱情が凝縮されています。
特に第3楽章の「これでもか!」といわんばかりの突進力!。聞いていて
心地よい興奮に浸れます。もちろん第1楽章も同様。第2楽章は「子守歌」
と銘打たれていることもあり、日本人の心にしみいるような歌にあふれた
作品。エローラ交響曲は、芥川の「マイナスの音楽づくり」にもとづいて
作曲されたもの。エローラ遺跡にインスピレーションを得て書き上げた曲
であり、男女の音楽的ピースのモザイクが激しい律動とねっとりした旋律
で構成されています。そして競合盤がおそらく他にないラプソディの鮮烈
な響きと音楽的凝縮度の高い演奏は必聴。ナクソスのプロモーションには
「爆発系サウンド」などとありますが、こんな安っぽい表現は不適切!。
音楽自体に魅力があり、それを見事な指揮と演奏で具現化した音楽家たち
に拍手!。ナクソスの日本作曲家選輯の中でもトップクラスのアルバム
と言えると思います。
はじまりは愛の契約 (ラズベリーブックス)
ラブシーンが非常に豊富で濃密です。
もともと「そういう」本を書いてみよう、という趣旨で創られたシリーズのようですが
主人公二人の気持ちの移り変わりが丁寧に描かれていてロマンスとしても意外に
面白く読めました。
ロマンティックサスペンスなのですが、そんなにハラハラしないので軽〜く読めます。
気分転換にオススメ。
アジャンタとエローラ インドデカン高原の岩窟寺院と壁画 (アジアをゆく)
この本は、思ったほど文章が多くなく、写真中心で見易いと思います。インド石窟寺院遺跡の写真集といった感じです。写真のクオリティーの高さ、豊富さもすごいのですが、この本で解説していらっしゃるのが、インド文化史研究の第一人者、立川武蔵さんで、キレのある分かり易い説明が詳しく書かれています。インドの宗教や文化を、長年あらゆる角度から研究されてきた方の解説なので説得力があります。仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教、三者三様それぞれの壁画や石窟彫刻の意味について、理解を深めながら写真を見ていく事が出来ます。インド宗教芸術を深く探求し、また楽しみたい人にお勧めです。
芥川也寸志forever
芥川也寸志の作品集として一押しできるこのCD。素晴らしい内容ですが、個人的に特に推したいのは「交響管弦楽のための音楽」、そして「絃楽のための三楽章」。新交響楽団の演奏もアマチュアとは思えない、そしてプロ魂さえ感じさせます。邦人作曲家の作品は演奏会全体でも占める割合が低く、なかなか生で聴く機会がないものですが、そんな彼らの作品を見直すためにも、その導入として本作はぴったりではないかと思います。もちろん、決して単純な作品という訳ではなく、時代に足跡を残した巨匠として。絶対に買って損しない一枚!