氷川きよしくんのアルバムには毎回往年のカバー曲が収録曲
の半数は収録されてます。彼の歌唱はもちろん大好ですが
ご本家はどう歌っているの?と思うことが時々あります。
きよしくんが歌っている「無法松の一生〜度胸千両入り」
「花と竜」「皆の衆」といった村田英雄さんの代表曲が
全部入っているアルバムがないかと探していていたところ
このアルバムと出会い、即購入しました。
私が物心付いた時は村田英雄さんは「中年の思いっきり濃い
脂ぎったおじさん」で、勘弁な感じだったのですね。
「村田英雄」という歌手には興味がもてないままだったのです。
でも今回このアルバムを何回も聴いて、それはただ、私が
お子ちゃまだったからなんだ、としみじみ感じたしだいです。
カララオケで歌うと、眩むくらい難しい「無法松の一生〜
度胸千両入り」を、あんなにさらっと軽々、鼻歌を歌うかの
ように歌っているのです。しかも音源は今から半世紀近く
前のもの…と言うことは、若い時の声ですね。
「夫婦春秋」の「おまえ〜」のフレーズもセクシーで
ドキッとします。
中でも「蟹工船」は、若き日の「星野哲郎」「遠藤実」と
村田英雄の天才同士の、まさに真剣勝負の歌のように思えます。
一点の無駄のない緊張感溢れる詞、押さえた太鼓の音が全篇を
支配する大海原の波しぶきを感じる曲、そして色気と男気の
溢れる歌唱…ぞっこん一目ぼれの曲となりました。
人は死んでもこれだけのものを残し、こんなに大きな感動を
残してくれるのだと思える素敵な一枚との出会いに感謝です。
初めて子供が生まれたあと、ほんと訳分かんなくて煮詰まったときに、近所の図書館に置いてあったのがこの本です。育児書なんて型通りで信用してなかったのですが、読んでみて子育てってこういうことなんだぁと心からほっとした本です。 著者のダドソン博士が自ら3人の子供を育てた経験から、乳幼児の生理・情緒・発育・成長のことを0才から5才までの年齢毎に、博士自らの事例を交え、具体的にわかりやすく解説してくれてます。どちらかというと子供のがわの視点なので、子供っていうのはこんなものなのねという感じです。抱っこばかりでママから離れられない、泣いてばかり、寝ない、食べない、かんしゃくを起こす、だだをこねる、いや!ばかり、親のいうことを聞かない、へんなことにこだわる、ちょろちょろ落ち付きがない、大人から見ると悪いことのように思うけど、子供にとっては全部大切な成長過程。子供の気持ち、親としての態度接し方(例えば、かんしゃく→周りから何と思われようとおさまるまで放っておく)にヒントをいっぱいくれますよ。 あそび・おもちゃ・本・トイレトレーニングについてももちろん詳しく書いてあります。 こんな風に子供を見守っていければ、子供も自分も豊かに成長できるんだなぁなんて思います。
全く知識ゼロスタートで、独学の私はまずこの本を購入しました。日本語読みで字を検索でき、簡体字・繁体字・読み方・意味・ピンインなども書かれているので便利です。例文も充実しています。ただ、語学が面白くなってくるとかゆいところに手が届かないというか、もっともっと知りたいという欲が出てきてしまいました。でも、これからスタートする方にはお勧めだと思います。
久しぶりにページを手繰る度に、新たな発見と興奮に満ちた一冊にめぐり合えた。国民の立場からアジア・太平洋戦争を分析する本は「政府による上からの強力な軍国主義の宣伝と、それをこうむった被害者としての国民」と、逆に「国民が自ら戦争を支持し、政府との間に緊密な関係があった」という大きな論点が二つある。最近は後者の視点から語られることが増えてきた。この本は後者に準じており、それに迫るべく多数の小さな資料に配慮しながら帝国日本の全体像を見失わずにと描き出そうと試みた研究書であり労作である。
「消費と観光のナショナリズム」という副題が示すとように、日中戦争中の1940年に紀元2600年を祝う極めて国家的で大規模な祝典行事が開かれたのだが、同時に神武天皇から連なるとする万世一系思想と建国に関する様々なプロジェクトが官民一体となって実施された。それは「消費」と「観光」という点において顕著であり、それに当時現れ始めた中産階級以上がのっかり、広大な帝国領域内と他の日本人移民も参加した一種の強力な帝国ナショナリズムが醸成されたという。国史を再発見するための懸賞論文やそれに利益を得たい出版社、伊勢神宮や橿原神宮を整備するための「建国奉仕隊」の結成、政府による聖跡認定を得るための各自治体の競争、そして聖跡訪問や朝鮮や満州の観光地や戦地を訪問する旅行を勧める鉄度会社に旅行会社、百貨店の建国展示会など、全ては「愛国」という言葉と強固に結束していながら「実は明るかった1940年の世相」像を次々と披露していく。
私はナショナリズムが消費と観光が結びつくことに深く考えたことがなかった。よって従来の視野を広げてくれる貴重な一冊であった。他に単一民族神話の起源―「日本人」の自画像の系譜や「日本人」の境界―沖縄・アイヌ・台湾・朝鮮 植民地支配から復帰運動までが関連する文献であろう。
そしてふと2010年の平城遷都1300年祭が浮かんだ。もちろん時代背景の違いも考慮にいれるが、この年は多くのテレビメディアが奈良を訪問し町の様子を映し、雑誌も仏像写真集や奈良の旅行ガイドなどの別冊ものが多数発売され、それに「せんとくんグッズ」が加わり、最終的に天皇も訪問したので非常に盛り上がった。よって一種の国史ブームが起きて多くの人が「日本的なもの」を再発見したはずである。2010年はまさに1940年に似た「消費と観光のナショナリズム」が巻き起こった年であったのだ。
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