本当のスクポリファンの人・グリーンが好きな人向けです。インテリなアートスクール出身のグリーンが若さゆえに初期衝動だけで友達とバンドを作りました。ギターガンガン系で演奏はかなりパンキッシュですが、あの綺麗な声や独特のメロディラインはデビュー当時から全く変わっていません。何よりリリース数が少ないこのバンド。まぁ今でも好きな人にとっては持っておいても損ではない一枚でしょう。
私の目的は「プロビジョン」以前のアルバムの音質の向上の確認でしたが、残念ながら期待外れに終わりました。音の解像度は従来と同様に低いです。いまだにビニールのLPが手放せません。私の老い先も余り長くないので、ただただ早くリマスターを望むのみです。
83年に、リーダーであるグリーンはニューヨークに渡り、新メンバーであるデイヴ・ギャムソン、フレッド・メイハーと「ウッド・ビーズ」「アブソルート」、マーカス・ミラーが参加した「パーフェクト・ウェイ」などのヒットシングルを発表。それらをまとめて85年にリリースされたのが本アルバムだ。その勢いで、88年に3rdアルバム「Provision」を発表。しかし、ツアーに嫌気のさしたグリーンはイギリスに戻り活動停止。
テクノロジーを駆使した斬新な音造りは画期的で、音楽業界に旋風を巻き起こした。その後のジングルはこいつのモノマネがむちゃむちゃ多かった。このアルバムは、実質グリーンひとりで製作されたといっていい。彼のセンスの素晴らしさがめいっぱい表現されたアルバムだ。
次作の「プロヴィジョン」も良い。そちらの方が洗練されているが、「キューピッド〜」のなんていうか、ちょっとあざといいうか、いなたいというか、なところが好きなのである。
アレンジに興味のある人は絶対に聞くべきだが、もちろん楽曲も優れている。
捨て曲無し、全曲聴けます。'85年発表だというのに、いまだに雑誌なんかでとりあげらることが多いのも納得。80年代の音と言えば、情けない音のシンセにシンベにドラムマシーンって感じがしますが、このアルバムではベースとドラムは生を多用しているので、古臭い感じがしません。究極のエレ・ポップ。
キューピッドアンドサイケ’85から入った人は確かに物足りないかもしれない。しかし、明らかにスクリッティポリッティとしての方向性・片鱗が聞き取れる作品となっている。スクリッティポリッティが好きなら是非手に入る間に入手すべき一枚である。
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