少子高齢化、介護問題を扱った社会派ミステリー。
事件を追っていくごとに、明らかになっていく闇、家族愛。
いたって良作。
介護問題もそうだが、それよりも少年が印象的だった。
いわゆるゆとり。これも少子化の影響なのか。
いろいろ考えされられます。
最後の謎ときには賛否両論あるようです。
個人的には、社会的メッセージをのせた「ミステリー小説」として読むのがいいと思います。
この終わり方は「さまよう刃」に近いでしょうか。
総じて良作だと思います。
寺尾聡さんの演技がよかったです。ただ、原作が素晴らしいので映画で全てを伝えるのは難しい気がしました。少年法の難しさを問う、社会派の映画。これからもこういう作品に期待します。
「手紙」とはまったく逆の立場が描かれた作品。
最近よく問題になってる未成年者の犯罪、被害者に対するマスコミの取材体制
そんなもろもろの問題点を追及した作品。
読者のほとんどは長峰に感情移入してしまうことは、間違いないような気がする。
「復讐」なんてやってはいけないことだとはわかっていても
自分がその立場に立たされても、同じことを言えるかどうか。
この「復讐」が成功することを祈らずにはいられないそんな感覚。
そして、事件を追う警官達の心理もうまく書かれているなぁ…とも思った。
「警察は市民を守っているわけじゃない。警察が守ろうとするのは法律のほうだ。」
この台詞がすべてを物語ってるような気がした。
物語としての結末はなんとなく予想のつくものだったけれど普通に終わらないのが東野作品。
最後の最後で唸らされてしまいました。
これはさすがに予想つかなかったなぁ…。
主人公、長峰の復讐に賛成している自分がいた。犯罪を犯した少年たちを法律が裁ききることができない、加えて遺族の傷をないがしろにしている法律に強い憤りを感じてしまったためこのような気持ちが生じてしまったのかもしれない。「さまよう刃」この作品はとにかく最初からグイグイとその世界に引きずり込み気がつけばめくるペ-ジがないといったそんな感じであった。終始、主人公のやりきれない想いが痛いほど伝わってくる。いろいろな人物の角度から切り替わって事件をみていることもこの作品の地盤をより強固なものにし盛り上げていた。この人物がこの作品の中にいる、そこにはれっきとした理由があって人物にもまるで無駄がない。理不尽な少年たちの言動も実によく捉え表現していた。 ラストは自分の望んでいた結末とは違ってしまって悲しい気もしたが間違いなく秀逸な作品であった。
推理ものでもあり、それでいてヒューマンドラマでもあるような作品です。自分にも勿論悪意は潜んでいるし、友や自分の尊敬している恩師などにも必ず存在するかもしれない悪意という無意識のうちの意識を、この本を通して改めて考えさせられました。常に人は悪意と善意とを戦わせながら今日一日を過ごしている…その悪意が勝つとき、人は人ではなくなるのかもしれない。
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