たとえば 1980年代は、幼児が風邪をひいて熱が出たら、アメリカの小児科医は「バスタブに水を張って、中に子供を漬けなさい」。医者自身が、人体の働きを知らなかった時代。日本においても、風邪は万病のもと。やはり体に関して無知なのである。
著者は説く。風邪は必要があってひく。熱は必要があって出る。熱が出たときは、それを支援して、後頭部を熱いタオルで温めなさい。そうすれば、さっと出きってさっと引く。風邪は体の左右バランスが乱れた状態だから、足湯をして、左右を整えなさい。熱が出たあとの体温が低くなる時期に安静にしなさい。
きわめて具体的なのである。風邪に対する無用な誤解やおそれは、これで解消されるであろう。先駆性に満ちた名著である。
私は、全生社で出版された当時に読んで、深い感銘を受けた。講義録では、「しょっちゅう」を「初中終」と書いたりして、その独特の「かな漢字変換」が面白かった。文庫版では、読みやすい文体になっているのが、残念といえば残念。
炎天下に狂犬病のセントバーナード犬・クジョーに襲われ、故障した車の中に閉じこめられた母親と幼い息子の恐怖を描いた作品。 原作では主人公の家庭不和などが延々と描かれていてクジョーの襲撃もまた主人公にとっての不幸の一つなのですが、本作では映画という事もあり、ただの汚らしい犬一匹が暴れるだけの動物パニック映画と化しています。つまり観客にとつては、さほど怖くないという事です。 ちなみに原作とは結末が変えられていますが、本作に限ってはこれはこれでよいかと。もし原作通りだったら、実に救いのない、やりきれない作品になったと思います。
地域医療を担う開業医です。(地域の要望)に応えてワクチンを接種しています。ワクチンを打ち始めて10年ほどになります。その間、医事新報、日経メディカルなどで、ワクチン効くや効かざるやの特集が何度も行われ、(効きます)との結論は出ているものの、生データを眺めているととても効いているように見えません。4,5年前大阪の小児科地方会では、副作用の多さのためワクチンやめるべしとの発表もあります。また公表されていない副作用も聞こえてきます。
最近注目している岩田健太郎氏の(思想としての感染症)には、この本は(クソ本)として評価していました。やはり医師はワクチン打つべしというインセンチブが働くのでしょうか。
今の所、今年圧倒的に一番面白かった本。固体物理学の本を閉じ、ヒゲを剃り忘れる程、夢中になって読みました。
話はゴシックホラーのような中世ヴェネチアから現代まで続く、あるイタリア貴族家系に遺伝するものとして、中年になると不眠症をひき起こして死にいたるという奇病(これがなんとも恐ろしい死に方であり、一旦発症すると運命は決まってしまう)の紹介から、現代のパプア・ニューギニアの食人部族にとび、研究者同士の権力闘争にまで発展していく。日本でも問題になった狂牛病を科学・医学的に詳しく解説していき、話が進むにつれ、例の貴族家系に伝わる奇病は、実は、80万年前の食人習慣が全ての始まりだったのではないかと言う説が浮かび上がる。ノンフィクションだがミステリー小説のような趣もある第一級の医療ドキュメンタリー。
とにかく読み始めると時間を忘れ、タスクに手がつかなくなるので、手に取らない事を勧めます。本書に取り憑かれて色々放置してきたボクは、そろそろヒゲを剃り、固体物理学の本を開こうと思います。
マスコミのいい加減な報道に振り回されないようにするためにも、インフルエンザに関する正しい知識をつけるべきだと思う。1時間もあれば読めるこの本は、そのためにもってこいの1冊だ。
「一生インフルエンザにかからない体質」を作ることができるかどうかは分からないが、湿度管理の仕方、水分の取り方、栄養の取り方など、普段の生活の中に取り入れられる対策なども丁寧に書かれているので実践してみようと思う。
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