シマノフスキーが主目的で購入、まだ聴きこみ不足ですが、いい曲であることには間違いなさそうです。 勿論、debussyも『雨の庭』や『月の光』が入っているので、、、こちらはギーゼキングやミケランジェリ演奏と比べてしまいますが、いいです。
記事だけで購入してみましたが、安い買い物をしました。
今度は実際に聴いてみたいです。
世にショパンの演奏は数多あれど、例えばショパン本人が聴いて良しとされる演奏がどれほどあるのだろうか。確かに、テクニックは素晴らしい。もしかするとショパンより上手いかも知れない。だが、そこに表現されている音楽は? 「ふむ、大変よく弾けています。私の音楽とは違うけれど・・・。」そんな演奏がほとんどではないだろうか。
ショパンの音楽にとって、デリカシーは非常に重要な要素だ。それはショパンの音楽の美の基準だと言ってよい。そこで表現される細微きわまるニュアンスは、静寂のppから怒涛のffまで常に均整の中にあり、節度を保っている。それを踏み外しまでして開放されるような極端な表現は、ショパンには相応しくなく、その美学とは相容れない。ショパンの音楽は常にある種の慎みをもって、その内に秘めた力強い意思を表現するものだ。
ブレハッチは、こうしたショパンのデリケートな感性に正しく感応している。大げさな誇張はなく、しかし細やかな感性は表現のすみずみまで行き届いている。ピアニストを聴くというより、ショパンを堪能できる。ブレハッチの抑制された表現の中から、ショパンの深く激しい情熱が立ち昇ってくる。ショパン・コンクールが久々に選んだ、ショパンに相応しいピアニストだと断言してよい。ショパン・コンクール歴代覇者の中ではユンディ・リとダン・タイ・ソンの長所を兼ね備え、しかもテクニックはそれ以上という逸材だ。
このCDにおける演奏は、どの作品においても端正で美しい演奏ばかり。 表現が濃厚とか個性的とは対照的な演奏で、どこをとっても中庸である。 しかし、さりげない表現の中に漂う情感は全くえもいわれぬ素晴らしさで、又音そのものに対するこだわりも非常に強く、例えば「雨だれ」の最初の3つの音を聴ただけでも、音の凄さや微妙なニュアンスが感じられる。 全体的にハッさせる驚きは少ないものの、最後まで聴き手を飽きさせることのない素晴らしい演奏で、ブレハッチの音楽に対する誠実な想い溢れるCDである。
2005年度のショパンコンクールにおいてイムドンヒョクらを抑えてツィメルマン以来のポーランド人勝者となった彼だが、私は彼の演奏を2003年の浜松のコンクールで聞いた。繊細な表現でありながらオケに埋もれることのない見事な調和を生み出していた。このCDの選曲も彼の音にぴったりとマッチしたものですばらしいものである。是非お聞きください!
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