全体的な雰囲気は遺跡シリーズそのもの。 短編の舞台としてはよいと思うのだが、長編でこれをやられるのはちょっとつらい。 とにかく暗いのだ。 内容も、設定は壮大なのだが、結局最終章までちまちまとした話が続く。 最終章は思わぬ壮大な展開が待っているが、期待していたほどの謎解きは無い。
堀晃に限らず、「巨大な謎の物体」を扱ったSFはこういう展開が多いけど、 ホーガンのようなカタルシスはありません。あの堀晃の初の長編だ! と期待して 読むとがっかりしてしまうと思います。
ロボット・AI研究者による研究発表は、思っていた以上にSFの世界が現実のものとなっており、驚きの連続であった。
冗談を交えながら一般の人々にも分かりやすい形でプレゼンされており、すんなりと理解できる内容だった。
SF作家による書き下ろしの短編小説は、これだけを読んでも十分面白い。
これが科学者の問いかけに対するアンサー・ノベルとなっているだけでなく、さらに科学者を刺激する内容にもなっている、
という見かたをすると、また違った面白さを感じることができる。
科学者により創造されたものが、作家の想像力を刺激し、その想像がさらに科学者を刺激する。
科学者と作家という異分野の人々が織りなす素晴らしき世界を味わえる稀有な一冊である。
宇宙遺跡調査員の「私」と結晶生命体「トリニティ」のコンビが良かった。「私」によって育てられて次第に成長していくトリニティという存在が不可思議で魅力的。9つの短編が収録されていて最後の「遺跡の声」で完結している。欲を言えばもっとこのコンビの活躍が見たかったが、その終わり方からして不可能なのが残念。(ただし、あとがきにもあるが、「遺跡の声」が最初に書かれた物語だそうだ。)
日本人の書く宇宙SFはあまり多くないが、堀晃さんの作品は本格的で面白い。
本作も宇宙SFとして立派な作品。もっと評価されて良いと思う。
日本SF大賞第1回受賞作品の「太陽風交点」が収録されております。 「裁判」といった、作品内容以外の条件により永らく入手できなかった作品集です。 「ハードSF」作品は垣根が高いなどと思わずに手に取って戴きたい作品たちです、 私も文系人間ですが、十分堪能できました。 SF初心者の方でも「アーサーCクラーク」の作品「2001年宇宙の旅」 「太陽からの風」、等にピンと来た方ならばお勧めできます。
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