ケイト・ブッシュのような透明感とシャウト後もしっかり伸びる強靭さを
兼ね備えた歌姫と、マルチプレイヤーな作曲家兼キーボードのダンナの
おしどり夫婦を主体にしたバンドの4作目。(3)など、シンフォニックな
女性版ジャーニーといった感じのバラードが当時某メタル誌で評価されていた
が、(5)などに見られるモロな変拍子多用のナンバーなど、実はプログレ
層からも人気を取れる要素があった。バラード面はむしろエンヤや
セリーヌ・ディオンあたりが好きな一般層にもアピール可能なのでは。
オススメは(7)。ノリノリのヴォーカル、熱いコーラス、めちゃくちゃ
弾きまくるハモンド風味のキーボード、暴れまくるカッコいいギターと、
とにかくアドレナリンが出まくる名曲。
ギター入りのEL&Pも真っ青の内容!
メタルだからと敬遠しないでぜひ御一聴を。
ちなみに当時筆者はCD屋の販促としてついていた付属のハガキを送った所、ラナの直筆サイン入りのジャケットイラストがプリントされたTシャツが
当たったことがある。結構綺麗な字だった。
時期、会場、メンバー、画質、音質どれをとっても一貫性のないもの。しかし各メンバーのインタビュやおまけも付いていて楽しい。このようなつくりはDVDならではだと思うが賛否はあるだろう。 ハードロック寄りの楽曲の多い中、やはり「Under the Olive Tree」は超名曲だと思うしRocket Scientistsのライブより編集された「Avalon」のカッコ良さはこのDVD中でもベストと感じる。 エリクはこのDVDの編集に苦労したらしく、ギターリストの演奏自体と映像を差し替え、画面からアルイエン・アンソニー・ルカッセンを切り離すために不自然なカットが多くなっていたりとその苦心が伺える。それが醜く非常に残念だ。 できれば「Symphony of Angels」もRocket Scientistsのツアーからのカットにして欲しかった。原曲同様ちょっと激しすぎるのではないでしょうか。 選曲はもう少し何とかならなかったのだろうか。
企画モノではあるが、彼女の持ち味、魅力を最も実直に見せてくれる好盤。タイトル通りの聴きやすいバラードを集めた作品集の第2弾。 夫でもあるエリク・ノーランダーの幻想的なメロトロンや煽情的なハkモンド、流麗なピアノに支えられ、歌姫ラナが浪々と歌う各曲は、オリジナルかカヴァーかといった些細な区別を超えて全てが美しく響く。 個人的にはダン・フォーゲルバーグのtrk1、ご存知エルトン・ジョンの名曲trk3でのラナの名唱が忘れがたい印象を残すハイライトだと思う。
セカンドアルバムだが、デビュー作とは作風を大いに異にする作品。前作にあった産業ロック的な聴き易さはどこへやら、ここで聴けるのはストイックなまでに実直で、しかもシンフォニックでプログレの匂いを感じさせる独特の世界観である。 バックも、ほぼ固定メンバーで固め、統一感を出す事をプロデューサーのエリク・ノーランダーははじめから意図していたのであろう。それは見事に効果を発揮している。 後々まで彼女の代表曲となるtrk3,9がハイライトであることは間違いないが、数曲を追加した再発盤では、アルバム全体のインパクトが増している感がある。 改めて聴いてみると、trk5,8,11などにも心惹かれるものがあった。何度も聞き返すうちに魅力が増してくる不思議なアルバムだ。
10年のキャリアで、しかもかなりの多作だったラナ・レーン。しかし、最高傑作といえば3作目の「ガーデン・オブ・ザ・ムーン」という所に落ち着くと思う。ポイントは「静と動のコントラストによるドラマ性」と「曲の基盤であるメロディの冴え」である。 ここ数年のラナのオリジナル・スタジオ作品には、新たな冒険を続ける緊張感と意欲を十分に感じつつも、上記の2つの点ではファンの溜飲を下げるまでには至っていなかった気がする。 しかし、本作では遂にコンセプト・アルバムという形態の中で彼女の持ち味を最大限で活かそうとするエリク・ノーランダーの思いが強烈に伝わってくる。楽曲のメロディ、アレンジのコントラスト、いずれも目を見張るほどの充実を見せている。trk3、8、9あたりは何度聴いても素晴らしい。それらを囲む他の曲も絶妙のバランス感でアルバムとしての統一感を高めている。 バックの面々も、従来の北米系核人材(マーク・マックライト、ニール・シトロン、ドン・シフ)のもたらすソリッドなサウンドに、新たな欧州の血(ペール・ヴァーシューレン、アーネスト・ヴァン・イー)がウェットな奥行きをもたらすことで、音的にも極めて魅力的である。 本作は間違いなくラナの代表作となるだろうが、個人的には最高傑作と言わせてもらいたい。来日公演が待ち望まれる!
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