ストローブ=ユイレの作品が続々とDVD化されているわけですが、驚きとともに感激もしています。
紀伊國屋という会社はすごいなぁって。
それで、プリントですが、これもまた非常に良い。
この作品はモノクロですが、すごく滑らかな映像で文句のつけようがありません。
ストローブ=ユイレのシリーズは全て満足のいくクォリティのプリントなので、見るたびに感心します。
それに、付属するブックレット、これがまた素晴らしい。
詳細にデータをまとめあげていて、一冊の本ですよ、これは。
一読の価値があります。
やっぱり紀伊國屋はすごい…(私は別に紀伊國屋の社員ではありません)。
シェーンベルクの歌劇を映像化したものだそうで。
この歌劇自体が上演されることは非常に機会が少ないらしく、なおかつストローブ=ユイレの作品もこれまで映像化されていなかったわけで。
当然私はこのDVDで初体験でした。
見てみて驚きました。
強靭な映像で。
とんでもない緊張感で最初から最後まで一気に見せます。
プリントのせいもあるかもしれませんが、すばらしく美しいモノクロ映像。
歌劇を「見詰める」視線が息苦しくもあるくらいです。
まさに全てに狂いがない感じ。
ストローブ=ユイレは、基本的に(役者的に)素人を使い、徹底的にリハーサルをして撮影に臨むそうです。
そこで厳格な画面構成も決まってくるんでしょう。
(そういえば、ブレッソンも素人を使いました。ストローブ=ユイレはブレッソンと小津と溝口を敬愛していたそうです。フレーミングは小津の影響が感じられるでしょうか)。
当然、カメラの位置から光のあてかたまで、完全に把握して撮影しているに違いありません。
そうです、そうなんです、全てがきっちりと計算されていて、妥協を許さない空気が流れています。
見るほうにも何か覚悟を決めることを要求するような空気。
この緊張感あふれる心地よい映像世界、体験してみて欲しいと思います。
ただ、普通の映画をリラックスして見る様にはならないので注意が必要ですけど。
ユイレが06年になくなりました。
もう新作が見ることができないのですね。
残念です。
1991年からヨーロッパの主要都市を舞台にベルリンフィルが行っているヨーロッパ・コンサート。2004年はギリシャのアテネから、演目はブラームスのピアノ協奏曲第1番とピアノ四重奏曲第1番(管弦楽版)です。
ピアノ協奏曲ではバレンボイムをピアニストに迎え、ラトルの指揮するベルリンフィルは第一楽章の力強さ、第二楽章の甘美さ、第三楽章のスピード感を余す所無く聴かせてくれます。バレンボイムは随所にミスタッチ、指が追いついていないように聞こえる所もあります。しかし、そんなことが小さなことに思えるくらいに表現力豊かで、スケールの大きな演奏で曲が進むにつれ、聴く者をグイグイ曲の世界に引き込んでいきます。
2曲目のピアノ四重奏曲第1番はシェーンベルクにより管弦楽版に編曲したものですが、オーケストラならではの多彩で濃厚な響きを存分に味わえる曲に仕上がっています。例えばIntermezzoではクラリネットが奏でる主旋律をフルート、ヴァイオリン、オーボエ、オケースオラ全体の順番で輪唱するように曲が展開し、シンプルで優しい旋律が複雑で力強いものに変化していきます。またAndante con motoの出だしのハーモーニーは、この曲の中で最も印象に残る程、美しいものです。そして最後のRondoはまさに踊りだしたくなるような躍動感。
演奏の内容だけでなく、画質と音質も優れています。さらに嬉しいことに同じ内容のDVDが、Arthaus Musik社のカタログ付きで廉価版Piano Concerto No 1 / Piano Quartet No 1 [DVD] [Import]として再リリースされましたので、そちらをよりお勧めします。
大好きな曲がたくさん入っていて、このCDは1枚で十分楽しめました。聞きやすくて癒される最高の1枚になりました。本当にありがとうございました!
06/07年度の大会に使用された楽曲が収録されているので、曲を聴いただけで
大会の感動がよみがえります。
日本の主要選手、男・女の楽曲以外にもエミリー・ヒューズ(フリー)
小塚選手(フリー)の楽曲も含まれています。
すべてがオリジナルの音源で無いのは、この手のアルバムでは付き物なので
仕方の無いことですが、今シーズン話題になった村主選手の女性の声を楽器
にみたてた「魂の歌」のオリジナルが聴けるのは嬉しいです。
ドビュッシーとは不思議な作曲家である。 彼の作風の特徴は、何と言ってもその和声の響である。 そのため、彼の音楽はその独特のロマンティックな側面に 目を向けられてしまいがちとなる。 つまりそれは、それまでの作曲家が想像もしなかったような 極めて色彩感の強い、独特の音楽世界の表出により、 後期ロマン派の標題音楽家としての地位を築いたという事実からも言える。 しかし、それとは裏腹に、彼の作曲技法は究極的に考え抜かれた 理論性に裏付けられており、音の紡ぎやリズムを徹底的に合理的に考え抜いている ことに注意を向けるべきでもある。 その実証的な証明がこのCD演奏に大変良く表れている。 ワイセンベルクというピアニストは、ピアノの音を即物的に表現する天才であった。 けっしてロマンティックなピアニストとは呼ばれないであろう。 彼の生み出すピアノ音楽は、音符に示されているものを実にクールに 完璧にピアノの音として表出させることに徹したスタイルをもっているからである。 音に情感を込めようとか、意図的にけれん味たっぷりと演奏する気などまったくない。 しかしどうであろう、そのワイセンベルクのドビュッシーが、誰よりもみごとな ロマン性溢れる音楽を奏でてみせたのが、このCDでの彼の演奏なのである。 その意味から、このCDは、ドビュッシーの論理的手法を駆使した 作曲家としての偉大さと、ワイセンベルクのピアニストとしての音作りの意味とを 同時に感じさせてくれる名盤と言える。 特に「組み合わされたアルペジオ(練習曲集 第2巻から)」 のみを聴くだけでも、 このCDを買い求めた意味があるというものである。 もちろん、他の演奏も十分にすばらしい。
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