テレプシコーラは圧倒的な情報量で説得力を与える漫画でした。バレエもローザンヌを目指す様な人はお金もかなり必要だとは思うのですが、その辺は描かれませんでした。千花ちゃんの手術費が3000万とのくだりは興味深い情報でしたけど。とにかく、バレエ漫画ではお金以外の情報は満載で読み応えがありました。しかし、マイホーム購入の話でお金の話をぼかされてしまうと、なんかただの絵空事になってしまって読んでいて冷めてしまいます。確かに訳あり物件の裏、とか国有地落札の方法とかそれなりに興味深いエピソードは盛られていますけど。リアリティを出すには主人公がいくらで今のマンションを買ったのか、今の収入はどれくらいか、お目当ての物件の価格はどれくらいか、どうやって返済していくつもりなのか、自由業でローンは組めるのか、といった情報は不可欠だと思います。生臭い話題で直接人には聞きにくい分野だけに漫画で描いてくれるのを期待したいです。でも都会で駅から四分以内の戸建てって…地価の反転を見てから考えたほうが良さそう。
短編で、山岸凉子さんのちょっぴり不思議な生活エッセイがついてます。 愛猫を失った作者が、東日本大震災で飼い主を失った猫をひきとるのですが、 それにまつわる、まわりの人間の予感とか、作者の夢予知とか、きたこれ的な、ムー民なエピソードを交えて、楽しく読めました。かわいいよ、猫は。
本編は、あんまり家相等の占いに興味がないわけでもないと思うんですが、本当に不思議なくらい面白くなかったです。ゴメン。 おそらく作者の経験がモデルだろうとは思うのですが マンガの物語の主人公が占いに振り回される老女というのが、あんまりなのか? 巻末のような作者目線の実話エッセイとして紹介されたなら、もう少し興味を持って読めたような気もします。
しかし、この本で手塚大賞はないでしょう。 それを幸運と言うならば、家相を気にしない家に住んでいた?以前の作者の方が、幸運は呼んでいたのでは?という気もするのですが・・ とか、実は読者に身を以て示したと考えると、もの凄い作品のような気がしないでもない・・
ローザンヌの決戦に向けて、六花はどうなるのか、ローラは、
ついでに(笑)茜は? とドキドキしながら読みました。
バレエというと門外漢にとっては、いまだに白いチュチュで
「白鳥の湖」というイメージしかないのですが、もはや
オリンピックのアスリート並みの肉体を要求されるのですね。
クラシックとコンテンポラリーのバランスについても、
興味深かったです。
別に展開が遅くてもいいので(というか遅いですか?
私は丁寧に描かれていて満足ですが、若い人には
遅く感じられるのかな)、山岸さんの納得のいくよう
じっくり描いていってほしいです。
それよりも、5巻はなるべく早く出してください。
この4巻、ほんとに待ちわびました。
その昔、あすかコミックス他で出版された名作たちが次々と蘇ります! 十年程前に手放してしまったのを後悔していましたので、本当に嬉しい。
●二日月●粘着質な転校生に違和感を感じ始めた頃、彼女の異能力が話題になり…。 (1990) 『けれど 彼女のグループ内での立場は変化しました』 山岸先生が時代に先駆けてメンタルトレーニングを描いた作品。 悪意ある者の言葉に縛られる事こそ、本当の呪いなのかも知れません。
●ティンカー・ベル●美しい母と姉ふたり。顧みられない末っ子は妖精と友達になる。 (1973) 『あたしにはティンクがいるもの うるさい友だちなんかより数倍…』 級友の兄の登場シーン、サリンジャーのナイン・ストーリーズを思い出しました。 ティンカー・ベルの金粉って、ディズニーが最初なんですね。収録作最古作品。
●幸福の王子●盗みに入った家に置き去りにされていた子供、その純粋な魂はやがて…。 (1975) 『こいつの心臓がイカレちまったら 食事代ぐらいじゃすまないからだ』 O・ワイルドの「幸福の王子」を下敷きに、ツバメ代わりに奔走する羽目になる男。 彼は小心者の泥棒ながら、初恋の女性の忘れ形見の少年を見捨てられない。
●貴船の道●病で死にゆく女。その家庭に後妻として入った愛人は悪夢に苦しめられる。 (1993) 『醜い…わたし すべてを許せないわたしが 悲…しい… 苦し…い…』 夢に出てくる前妻はいつも後ろ姿。邦画「リング」も、顔を白紙で隠してる幽霊が怖かった。 不倫がバレてないと思うのは当人達だけですね。女性版『蜃気楼』のような作品。
●黒のヘレネー●身も心も美しいと讃えられる女の内実は、利己的な欲望の塊でしかなかった。 (1979) 『称賛されるのはあたりまえ ほんとお母さま いつもおかしなことをおっしゃる』 ブラッド・ピット主演で映画化されたトロイア戦争。その発端となった美女ヘレネーと その姉クリュタイムネストラ。『蛭子』『星の素白き花束の』と違い自覚のない悪意を描く。
●朱雀門●独身のイラストレーターである叔母は、芥川龍之介「六の宮の姫君」をこう解釈した。 (1991) 『「生」を生きない者は 「死」をも死ねない… と彼は言いたいのよ』 主人公である少女と自由業の叔母という関係性から、一見『二口女』に似てると思いますが、 このテーマはむしろ『天人唐草』と同じ。自ら漕がない人生の船は、幸せの岸でなく滝壷へ…。
●愛天使●憎い父の家庭に乗り込んだ先妻の娘はそこで、世間から隔離された少年と出会う。 (1977) 『わたし 見たんです あの子の後ろに天使が立っているのを』 これも早々と自閉症児をテーマにした作品。山岸先生は「いま読み返すと忸怩たる思い」と 仰ってますが、先駆けて世間に認知を広めるという素晴らしい功績はあると思います。 ●奈落●金髪の姉とブルネットの妹、どちらも母に瓜二つだが、賛美されるのはいつも姉…。 (1988) 『こうしてお二人並んでいると まるで色違いのお人形のようですね』 仏女優C・ドヌーヴとF・ドルレアックを想定して描かれた作品。ドヌーヴは実際に 「子供の頃、姉さんが死にますように、と願った」と漏らした…と読んだ記憶があります。
●天使カード●締切に追われる女性と、その飼猫ワビ。ある日天使が鬼の形相で襲ってくる! (1996) 『ネコはもともと自分が主人だと思ってるわよ』 途中で「えっ何?ホラーなの!?」と思いましたが、山岸先生が見た夢だそうです。 私の愛猫も甘やかし過ぎて、自分を中心に世界が回ってると思っているようです…。
北海道の森の中に妖精の国があり、ある病気がちな少年が『妖精王』として迎えられます。前の妖精王はどうなったのか?その少年が妖精王になることに反発する勢力とは?右も左もわからない妖精の世界で、少年が頼れるのは従者クーフーリンだが、彼は前妖精王の婚約者を寝取ったとの噂が。鹿の子供パックとともにダークエルフの女王、クイーン・マブの城のある摩周湖へ妖精王の証の水の指輪を取り戻すべく旅立つのだが。 独特な筆者の世界観がいまいち伝わりにくいのですが、原作を読んでからみればいいでしょう。
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