本書を読んで、Deth Noteを思い出しました。 素人が,他人に気が付かれずに殺人ができるという共通部分。
殺人できる能力が,毒の所有者という,ある物の所有者によって権利が移って行くという部分。 デスノートの場合はノートでした。
面白いのは,同じような人に伝わるのではなく, とっぴょうしもない,無関係な,たまたまそこにいた人が引き継ぐという発想です。
これは赤川次郎の傑作ベスト7に認定したいと思いました。
当時スターダストプロモーションの夏帆のゴリ押し用として制作された推理ドラマ。原作は赤川次郎ということでこういう手軽なドラマにはうってつけの素材である。 放送当時にゴールデンで記録的な低視聴率をたたき出したとして逆に話題になっていたドラマだが、それも当然と言うべき特に何の見所もないドラマである。今更DVDで観ても何も面白くないと思われる。ここでの失敗により夏帆さんが第一線から退いてしまった感じだが、現在の方がNHKなどの意欲的な作品に出ていて良いと思う。夏帆さん自体は魅力的だと思うが、このドラマ自体は出来は良くない。
ある男が、リストラされて思い余っているところへ「悪」からの誘いがあり、ずるずるとその道に進むことになります。 ところが、「情」を捨てきれず仕事に失敗し、その結果、知人の殺害と家族の死が天秤にかけられてしまいます。 切羽詰まったところで決断は? こうした「家族愛」をテーマにした設定は、良くある話であり、結末も想定内のところに落ち着きます。 その意味では、どうということのない小説であり、作者のユーモア一杯の語り口に酔わされて読み続けることになります。 むしろ、この話で「怖いな!」と思わされるのは、ここに登場する強盗団が殺人を躊躇わないことです。 しかも、目的のためには手段を選ばずと言う訳で、全く関係のない人を殺してゆきます。 「動機なき殺人」ですから、警察も捜査の手がかりが掴めません。 ただ、これは小説ですから、完全な「悪」は存在せず「情」にほだされて綻びを生じ、事件は解決されます。 現実にこうした事件が起きれば、余程のへまをしない限り、迷宮入りでしょう。 その意味では、現代社会の怖さを垣間見る小説になっています。
駆け込み団地。それは、家族から逃げて行くところ。
大臣の妻が逃げて行く。
逃げた先の団地の管理者は元恋人。
元恋人の元妻が、大臣の妻の代理で殺される。
人間関係がぐちゃぐちゃなところが赤川次郎流。
それでも嫌みでないのが、会話中心の展開による軽文学の技だろう。
相変わらず、塚川亜由美のスーパーマンぶりの活躍と、愛犬のドン・ファンのタイムリーな活躍で、難事件を解決してゆきます。 不可解な宝石店の謎を解く「崖っぷちの花嫁」と、バレエ団の隠された謎を解く「花嫁は今日も舞う」の二篇が収められています。 このシリーズが「花嫁シリーズ」と言う事で、タイトルに「花嫁」が入っていますが、余り関係はありません。 ユーモア溢れる語り口とキャラクターたちの活躍が、ご都合主義的なミステリーとしての欠陥を隠してくれていますし、何と言っても、最後にちょっと胸を打つシーンを準備しているあたりが、このシリーズが長続きしている理由でしょう。 今回も気楽にさっと読めてしまいますが、楽しい作品です。
|