江川蘭子 (春陽文庫―合作探偵小説)
江戸川乱歩、横溝正史、甲賀三郎、大下宇陀児……
当時の探偵小説の顔とも云える著者陣の中に、更に異彩を放つ夢野久作。
ストーリーは現在から見ると、やや破綻気味ではあるが、これだけの豪華な顔触れの文章の比較が容易に行われるのはこの一冊だろう。
もっとも、久作はカタカナの表記が抑えられていたりはするが。

恐らく、江川蘭子での彼らの文章は江川蘭子でしか読めぬだろう。


 

緑色の犯罪(探偵クラブ)
大下宇陀児もそうだが、とにかくかなりの作品数である。戦後1度だけ全集が刊行されているが漏れているものが多すぎる。この全集、近年復刻されているものの、いわゆる図書館本で価格高すぎの上、文字も読み難いとくる。甲賀三郎のシリーズ・キャラには獅子内俊次・木村清・葛城春雄・手塚龍太・土井江南等があり、それぞれがどの作品に登場しているのか一度完全に整理しないとよくわからない程だ。

乱歩とは逆に「質より量」的に見られる事も多く、探偵小説好きには魅力的なものものしいタイトルの割にはショボい作品もあるが、本書はその中から良いものを選りすぐっている。

■ニッケルの文鎮
■悪戯
■惣太の経験
■原稿料の袋
■ニウルンベルグの名画
■緑色の犯罪
■妖光殺人事件
■発生フィルム
■誰が裁いたか
■羅馬の酒器
■開いていた窓

現行本では論創社『甲賀三郎探偵小説選』、創元推理文庫『黒岩涙香・小酒井不木・甲賀三郎集』が入手し易い。春陽堂の初刊本復刻『琥珀のパイプ』『恐ろしき凝視』も探せば見つかる筈。春陽文庫『妖魔の哄笑』はつまらないのでお勧めしない。

長編の代表作『姿なき怪盗』ぐらいは文庫で流通していてもいいのではないだろうか。

 

犯罪・探偵・人生
「犯罪と探偵は人生に密接な関係を持つてゐる」といういささか強引な宣言の下に、主として犯罪実話を下敷きにしたエッセイ群を収めている。それはそれで中々おもしろいのだが、木々高太郎との論争のような探偵小説論をもう少し入れて欲しかった。その点で少々喰い足りないが、全体がいわゆる「探偵趣味」に貫かれているため、ミステリ好きならばそこそこ楽しめる内容となっている。

 

剣伎衆かむゐ信州龍神祭りゲスト出演2008 【真楽寺】



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