ファッション―蝶は国境をこえる (岩波新書)
日本人デザイナーとして世界を圧巻させてきた森英恵氏の自伝本。
ファッションが心を豊かにする文化と捉えるからこそ
Identityを発信していくことにこだわりつつ、
「世界で通用するためには?」を常に問い続けてきた
氏の世界観を知ることができます。
▼印象に残ったフレーズ
創作は、常に世界に通用する感覚でなければならないので、
まずは外国のことをよく知る必要があるけれど、
それは自分を捨てることではない。
十分な知識を持って、世界中の人たちが理解しやすいように、
自分のアイデンティティを表現していくことなのだ。
→相手に合わせることが世界で通用することではない
と語っています。
このことは制作サイドだけでなく着る側にも当てはまる
ことで、周りの人に認められたいがために相手に合わせた
服選びをするのではなく、周りを理解しつつ、
自分の個性を表現していける服を選んでいこう
ということにも繋がってきます。
この本を読んで1番印象に残っているのは
ファッション=心を豊かにする文化
ということです。
今まで高いお金を出して洋服を購入することは
デザイナーを儲けさせるくらいにしか思っていなかった
のが、自分を表現するための洋服なんだ、という視点の変換
に気づけたことで洋服に対する見方が変わりました。
このようにこの本を通して常々感じられるのは
「視点の多様性」
です。
・商売をする時の視点
・デザイナーとして働く時の視点
・文化を繁栄させていく時の視点
1つの行動であっても、そこにはいくつもの見方
があることを感じられます。
■著者プロフィール
森英恵(もり はなえ)
1926年島根県生まれ。医者の家系に生まれる。
1947年東京女子大学を卒業と同時に結婚するも、
主婦業に止まりたくないという思いと、
きれいなものを作って着たいという思いから、
ドレスメーカー女学院に通う。
その後、友人と新宿に「ひよしや」を開店。
1951年には新宿にスタジオを設立し、映画衣装を手がける。
1965年にアメリカでコレクションを発表。
1977年、パリに進出し、東洋人で唯一の
パリ・オートクチュール組合への加入が認められる。
以後、パリ・東京・ニューヨークを拠点に、中国やインドにも進出
するなど、幅広い活動を展開している。