Spine of God (Reis)
その界隈では神盤の一つに数えられる、鬼才Dave Wyndorf率いる米国のPSYCHEDERIC/STONERバンドによる92年発の1stフル。のっけからシュンシュンと左右にふれるスペーシーなエフェクト音に攪拌される"Pill Shovel"を皮切りに、泥沼のような酩酊と過激な覚醒とが山を成し飛び込んで来る。SLEEPやKYUSSともタメを張るそのめくるめくリフ捌きやトリッピィな反復模様のウマさは当然として、加えてこのMONSTER MAGNETの楽曲には、誤解を恐れずに言うと非常にアーティスティックな華やぎがあるように思う。呻いたかと思えばセンチメンタルに落としてもみせるWyndorfのヴォーカルはじめ、全編に渡って広い振れ幅(しかし全景のカラーは見事に統一されている!)をみせる楽曲群がなんとも魅力的。引き攣れたような"声"から音場が爆発するタイトルトラック"Spine of God"では大好きなWARLOCKSのソレと同種の興奮を味わい、それこそ往年のSFAも真っ青の一大ストレンジ・ポップ・ロックを展開するラスト"Ozium"に至るまで、一連の波上に乗せ尋常でない昂ぶりを引きずり出す。およそ15年以上も昔の作品だなんて思いもよらない、果てることなくその魅力を湧出し続ける名盤。
Superjudge
最初、グランジの連中が60〜70年代ロックのコピーをやっているのか、と感じたが結構これが面白くてハマッてしまった。ホークウィンドの名曲「ブレイン・ストーム」もカバーではなく、自らのスタイルで演奏しているように、懐古趣味とかリスペクトではなく、ましてもサイケブームの再燃を企図しているわけでもない。まさしくサイケを「今日性」として演奏しているところに、彼等の独自性と現代アメリカの懐の深さがある。彼等にもっとどっぷりつかってみたい人には、「パワートリップ」のツアー・エディションが聴き易くておすすめ。