Steely Dan - Aja [VHS] [Import]
当時の録音を聴きながら回想するシーンで制作秘話が沢山聴けるのですが、何よりもこのビデオ収録時のメンバーで数曲をスタジオで再演しているのがすばらしいですね。ただし、このDVDは日本使用のプレイヤーでは再生できませんので要注意です!
Aja
メンバーの脱退等によって、Donald FagenとWalter Beckerの2人となったSteely Danではあるが、実際Steely Danの歴史上、この2人のコンビによる時期こそ、黄金時代と呼んでも過言ではないだろう。そして、この"Aja"というアルバムこそ、彼らを代表する名盤として知られている。この70年代後半という時期は、白人の音楽と黒人の音楽がクロスオーヴァーという形で融合される事が風潮としてあり、このSteely Danも例に漏れず、ホワイトによるユニットでありながら、ソウルフルなグルーヴが前面に押し出された洗練された音楽が特徴だ。
彼等を指し示すのに相応しい言葉は正に「完璧主義」なのだろうと思う。様々なゲストプレイヤーとスタジオで緻密な音を積み上げるその姿勢は、正に職人と言えるべきもので、常に音源の完成度と評価は高い事で知られている。この"Aja"もLarry Carlton、Joe Sample、Chuck Rainey、Steve Gaddと言った誰もが知る名プレイヤーが制作に参加している。ここに収録されている楽曲を聴いていて思うのだが、1音たりとも無駄というものが感じられない。必要最小限の音だけを使用し、まるで空間さえもアンサンブルの一つとして捉え、そして名プレイヤー達の楽器がせめぎ合うように交錯していく。そうして生み出された音源の心地良さは、感嘆を洩らしてしまうほどだ。
最後に、このアルバムの印象的なジャケットも注目せざるを得ない部分だと思う。日本の生んだ国際派モデル、山口小夜子の艶やかなその存在感は、正に"Aja(彩)"という言葉を示すのに相応しいものだと思う。このジャケットがより一層"Aja"というアルバムのコンセプトを、誰の目にも明確なビジュアルとして表現し、この素晴らしい音源の数々を引き締める役割を担っていたように思う。これだけの表現を1枚の写真のみで表現出来る彼女自身もまた、「完璧主義者」なのだと思う。名盤と呼ばれる作品は、更なる完成度を求め、必然的に多くの芸術を引き寄せる力があるように思う。これだけの贅沢な気分にさせられる作品はあまり無い。
スティーリー・ダン「リーリング・イン・ジ・イヤーズ」
スティーリーダンのバイオです。
このグループの本はなかなか他にないのでファンなら貴重な
本だと思われます。
内容の情報量もなかなかで、レコードコレクターズの特集号で
は知りえないエピソード満載です。
ガウチョのマスター消去事件なんてこの本で初めて知りました。
Gaucho
気難しい完璧主義者としてスタジオミュージシャン達から恐れられていたスティーリ−・ダンの絶頂期のアルバム。ライブを一切行なわずレコーディングに徹していた時代の完璧な音楽作品。心地良い理由は完璧にアレンジされた曲と完璧な演奏技術を持ったスタジオミュージシャンによるサポートに他ならない。当初パット・メセニーが起用されると噂されたスペシャルフューチャーのギタリストは実はマーク・ノップラーであったがこれも正解。何から何までこだわりずくめのこのアルバムがもたらす感動は今なお健在である。
Pretzel Logic
74年発表の3rd。マイケル・マクドナルドが参加し全米4位のヒットとなった1.を含む初期の代表作。意味不明のジャケットとこれまた意味不明の邦題「さわやか革命」に当初は困惑した覚えがある。しかしながら一度聞くとこれがギャップになってアルバムの印象を高めるから不思議だ。アルバムは全米8位のヒットとなった。1.は前記のようにヒット曲だが、ジャズっぽい雰囲気で転調をくり返す、かなり難解な作りながら、手応えは爽やかで聞きやすい。(ある意味邦題は間違っていない) 2.は前作にあったクロス・オーヴァー色を更に深化させたかのような重圧な佳曲。3.はアコギが活躍する良く聞くとフォークっぽい曲。4.はメロディアスで明るいポップな曲で1stあたりを彷佛とさせる佳曲。5.はそのままジャズのインスト。6.はチャーリー・パーカーに捧げられた曲だが、比較的ストレートなロック・ナンバーである。8.も彼ららしいクロス・オーヴァー的なポップな曲。
バンド形態のスティーリー・ダンは本作を持って最後となり、次作以降はドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカー+αのようなレコーディング・グループとなる。彼らの評価は一般にそのレコーディング・グループ時代のものが高いが、個人的にはグループ時代の方が素晴しいと思う。このアルバムは初期とそれ以降の過渡期とも言える時期の作品だが、最も聞きやすくて楽しめる作品だろう。曲の素晴しさでは1stと良い勝負。