阿弥陀堂だより 特別版 [DVD]
村の死者(先祖)と生者(子孫)の接点である阿弥陀堂。数珠送り。神楽… 今時、よほどの田舎でなければ存在しないような因習。
恩師は死を悟っている。
「先に行って待っている」「すぐに行きますよ」…「自分から息を止めたように思う」…阿弥陀堂に新しく並べられる名札…
誰もがいずれ受容せねばならない自分の死。それは、都会では、寂しくそして医療機械に囲まれて「死ぬに死ねない」辛いものかも知れない。しかし、この作品で、死も自然の一部であることを改めて教えられた。ただし、死を自然の一部として受容するためには、愛があることが前提となるのかも知れない。本作品では、二組の夫婦の愛が、さりげなく、しかししっかりと描かれていることも見逃せないだろう。
一方で、生も自然の一部であると同時に、素朴に素直に素晴らしいものであることを本作品はしっかりと訴えている。ややもすると単なる効果音として素通りしてしまうカジカの鳴き声すら、生の素晴らしさを感じさせてくれる。そしてもちろん、小百合の本復を喜ぶおうめさんの姿…
生も死も何事も、自然に、四季のように、巡り、過ぎていく。それを一番良く知っているのは、おうめさんだ。
私たちはおうめさんのような生き方ができているか。
阿弥陀堂だより [VHS]
すごく美しい画面(1シーン1シーンが芸術写真、石仏も美しい)
美しい物語と画面とにぴったり合った心に沁み入るような音楽。
そして、何よりも、90歳を超えるという北林谷栄さんの存在感。
「お盆になると亡くなった人たちが阿弥陀堂にたくさんやって来ます。
迎え火を焚いてお迎えし、暗くなるまで話をします。
話しているうちに、自分がこの世の者なのか、
あの世の者なのか分からなくなります。
もう少し若かった頃はこんなことはなかったのです。
怖くはありません、
夢のようでこのまま醒めなければいいと思ったりします。」
などという言葉は美しくさえ感じられました。
医学生 (文春文庫)
南木さんの学生時代と今とでは、違うことも多少あるだろうが、医学生がどのように6年間過ごすのか、また、解剖実習や病院実習に際して何を感じるのか、などがリアルに描かれていて、驚いた。
私自身が医学生なので、これまで感じたことや、周囲のいろいろな世代・人生背景をもった仲間のことなど、時と空間を超えて共通していることがよくわかった。
小説としては(小説を評する立場にないが…)、登場人物の微妙な感情・心情の変化が手に取るように感じられた。医学生だから…ではなく、誰もが通る甘酸っぱくほろ苦い青春の記憶。かといって、仰々しい恋愛や冒険的な内容ではなく、「うんうん、あるある。」という日常のドラマ・感情の機微をうまく表現してくれて、すっきりした読後感だった。
阿弥陀堂だより (文春文庫)
テレビを見損なったため買ったが、とても価値ある本でした。
今の殺伐とした時代において、大地に足をつけ生きている。
経済大国のなかで、高度文明を利用しているのではなく、利用
されているのではないか。
この本を読んで、感動し今まであまりなかった涙さえ出てきた。
私も人間だと感じさせられた、まれにみる素晴らしい本でした。
是非、多くの方に読んで頂きたい素晴らしい本だと感じました。