双剣の影使い ~夕映えの丘のリーザ~ (ルルル文庫)
まじめに作られた堅実な物語でした。
主人公はじめ登場人物たちにへんな濃さはありませんが、それぞれにまっすぐで、一生懸命な姿には好感が持てます。
「影使い」というめずらしい設定も、読者がおいてきぼりにならない程度に、ストーリーの中できちんと説明されていて、面白かったです。
主人公たちがどんな状況にいるのか、映像が頭に浮かんでくるくらい、情景描写がとてもていねいです。
主人公と相手役の少年の、お互いを思いあってのやりとりが、特に心にぐっときました。
軽快な会話のかけ合いで話が進んでいくような作品ではありませんが、切ないやりとりとか、誠実な物語を楽しみたい方に、おすすめです。