KINGDOM
1990年代前半に解散したと思っていたら、いつの間にか再結成してたんですね。でも限りなく100%に近い確率で、このアルバムを超えるものを生み出せないだろうと断言できます。これは彼らの限界を超えたコンセプトアルバムです。
彼らの音楽の根底にあるのは、ジャンルで言えばビートパンク~パンキッシュなロック。このアルバムは全体的にメロディー重視の、ややメロウな感じです。ギタープレイがやや単調で一本調子なのと、シンセサイザーの使い方が稚拙なことが、楽曲を若干チープにしていて残念です。
それからボーカルの声質と歌い方が、アングラ系でおどろおどろしい感じの「ややハイトーンボイス」なので、これが気になる人は完全にアウトでしょう。彼の歌詞世界は、1990年ごろ=ベルリンの壁の崩壊と共に変わりゆく世界を的確に捉え、10年後の現在の世界に通じるものもあるだけに残念です。
アングラの香りのする、パンク系のビートロック。しかしメロディーラインがなかなか秀逸で、トータルの完成度はかなりのアルバムです。最近のお子様相手の商業音楽に飽きた人で、ジャンル的にあまり抵抗感の無い人にはお勧めできます。