最後の海底巨獣 DINOSAURUS! [DVD]
南国カリブ海で氷漬けの恐竜二体と石器人が見つかり、付近の小島に引き揚げられたのが運の尽き、たまたま落ちた雷のおかげで大復活。恐竜と石器人は島を大混乱に陥れるのだった。
お話はこんな感じだが、今のCG全盛大迫力映像インフレ状況からすれば、安い、チャチィ、デタラメ、と三拍子揃ったB級SFの金字塔。
しかし、小生にとっては、長年に渡りSF映画私的ベストの上位に君臨する、フェティシズムに溢れた可愛らしい作品。
酔狂なヤツだと思われるだろうが、30年以上の昔、テレビの洋画劇場で初めて見てから現在に至るまで何度見ても心躍ってしまうから仕方がない。
余り上手いとはいえないストップモーション・アニメで動くティラノサウルスやブロントサウルス(この頃はまだこの名前)はもちろん楽しいが、脇役として登場する恐竜好きの少年のエピソードには、エエ歳こいた怪獣少年だったら感情移入しない者はいないだろう。主人公が少年に最後に語りかける台詞も、子供心になにやら哲学的な味わいを残してくれたものだ。
たぶんそんな人間は結構いるらしく、かのスピルバーグ監督も、『ジュラシック・パーク』でこの映画へのオマージュを捧げているようで、Tレックスがジープを覗くカットがそっくりだし、クライマックスのティラノサウルス対パワーショベルの大激闘は、『エイリアン2』の原点である。
北米ではDVD時代のかなり早い時期に発売されており、当然、ボクも持っているのだが、日本ではテープが出たっきりなので、まずは国内初ディスク化はメデタイ限りである。
個人的には、いきなりブルーレイで出しても良いと思うほどの作品だが、まあそれは叶わぬ夢としても、テレビ放映時の日本語吹き替え音声くらい収録して欲しいところだ。パブリック・ドメインの廉価版なので多分無理だろうが……。
恐竜対策の火炎瓶を運んでいる最中に一本割れてしまい、火炎瓶を持っていたオッサンの『不発でしたね』という台詞がひたすら可笑しかったのですよ。子供時分。