新・人間コク宝
座談の名手・吉田豪氏による一般社会の常識の枠では収まりきれない熱き男たちのインタビュー集。
前作以来3年ぶりとなる待望の第3弾であり、今回も芸能界の“不良番長”こと梅宮辰夫氏を筆頭に『笑点』でおなじみの六代目三遊亭圓楽師匠、“浪速のロッキー”こと赤井英和氏、『嫁に来ないか』の歌手・新沼謙治氏といった現在もテレビなどで活躍するタレントや一方、かつてワイドショーや社会面で世間を騒がせた過去のある漢(おとこ)たちによる濃い面々でお送りする内容となっている。
過去に二度の傷害容疑と日本刀所持による銃刀法違反として現行犯逮捕の二世タレント・木村一八、ストーカー規制法違反による逮捕の漫談家・月亭可朝、麻雀賭博による現行犯逮捕の漫画家・蛭子能収、寿司店での傷害と暴力行為違反による逮捕の俳優・大和武士、タレント・羽賀研二と共謀による恐喝事件における逮捕の俳優・吉川銀二といった過去に傷のある漢(おとこ)たちをゲストに迎えるキャスティングも本書の特徴である。
なかでも木村一八氏のインタビューで世間とは明らかに異なる横山やすし家の教育方針や 父・横山やすしと一八氏の実母にまつわる衝撃的な挿話(テレビでは間違いなく放送できない内容)や他にも当時PTAから問題となった性教育を主題とした青春ドラマ『毎度おさわがせします』やタクシー運転手への傷害事件の挿話など本人の口から普段は聞けない挿話にまで饒舌に語られているのもひとえに吉田豪のインタビュアーとしての賜物だろう。
さらには女優・南田洋子氏とのおしどり夫婦として知られる名優・長門裕之氏の挿話ではインタビュー当事、長門氏が認知症を患う妻・洋子(以降、奥様と表示)を懸命に介護している様子をメディアに伝える長門氏の姿勢に奥様の老醜をさらしものにしている印象が強く、私的には嫌な印象だったが、インタビューを拝見して、当初、奥様が認知症を患っている事を誰にも覚られずに看病し続ける思惑であった長門氏の意思とは別に成り行き上、メディアに公開する決意に至った知られざる挿話も多分に伺う事ができて大変よかった。
メディアではなかなか聞き出せない長門氏の本心を引き出したインタビューや奥様の死後、長門氏を激励インタビューを敢行する吉田豪氏の姿勢はさすがです。
みんな大好き塊魂オリジナルサウンドトラック 「塊は魂」
サントラも好評だった、名作「塊魂」の続編「みんな大好き塊魂」のCD。
前作のインパクトは、「あの人が真面目な顔してこんな曲を!」
「この人ちゃんと歌えたんだ(笑)!」というサプライズが大半だったかと
思うが今回はそのサプライズが無い。
というか、宮崎・おっぱい占いの歌・吐夢を選んじゃった辺りで
もう前作を超えることは永遠に叶わなくなったんだと思う。
人選と曲のミスマッチが面白かったのであって、それが一致しちゃったら
そりゃただのネタか歌だ。あえて挙げないが、この傾向は他にもある。
という事で「真面目な顔してこんな曲」は本作にはもう無い。
サプライズ=面白い、笑えるだけじゃないのだが、そこを見誤って単純に
面白くしようとした気配を感じる。そこが嫌だった。よって減点。
各自の曲が悪いわけではないので、星4つだが、次回はどうなんだろう?
続編というのは難しいなぁと他人ながら思った。
レース鳩0777 【コミックセット】
今より四半世紀前に週刊少年チャンピオンに連載された本作は、数ある動物マンガの中でも最高傑作の部類に位置するだろう。レース鳩なんて新沼謙治が飼ってるくらいにしか馴染みのないマイナーなものだが、そんな未踏の沃野にペンを走らせた飯森広一の漫画家としてのフロンティア精神には快哉をあげたい。そもそも飯森動物漫画は、大自然における野生動物たちの生態や生存競争の過酷さを描出するというよりも、人間社会に組みこまれた動物の、ホモサピエンスとの共存関係において体験する様々な事象をテーマに据えた作品が多い。飯森の初のヒット作「ぼくの動物園日記」からしてそうだし、「盲導犬プロメテウス」「アイン」もその例に漏れない。それだけに登場人物と動物たちの言語を超えた友情関係は読む者の心肝を震わしめる。
ふとした事から名鳩の子供を入手した次郎が、鳩レースにはズブの素人ながらもその愛鳩0777(アラシ)と共に成長していく物語。次郎の友人兼ライバルたちも様々な理由でレース鳩を愛で、その個性的な愛鳩たちと切磋琢磨していく。これらのキャラクターも申し分なし。
物語クライマックスは、台風の時期に開催される1100kmの長距離レース(鳩レースに無知な新聞社が無謀にも開催)への挑戦で、ここで描かれる悲劇は全マンガ史上においても圧巻のストーリー。次郎のライバルそして0777のライバル達が悲しくも鳩レースのそれぞれの幕を降ろしていくなか、感動の最終回を迎える・・。
パンドラの匣開かれし時、夥しき災厄と不幸が世に遍く飛散した。しかしその匣底にはただ一つ「希望」が残っていた。 数多の涙の中で次郎と0777が手にしたハッピーエンドはあまりにも美しき光彩を放っている。
塊魂サウンドトラック 「塊フォルテッシモ魂」
・「椛田早紀」の電子音にあう透き通った声が好きだ。
・「松原のぶえ」は、その声を浅香唯と聞き間違えるほど、そのノリノリぶりが不思議だ。坂本ちゃんもいい味がでている。
・「新沼謙治」のラップには驚いた。この人は歌の基礎ができているためかラップもうまい。しかも、よく聞くと「Youぅ」っていうところがちょっと
なまっている(^_^;)。初めて聞く人は誰が歌っているかきっとわからないだろう(それほどうまいラップだ)。ヒップホップ界の新しいスター誕生か?
・「浅香唯」の曲は、名曲「セシル」以上の出来だ。ボサノバをさらっと歌う彼女の才能に驚かされた。
・「水森亜土」は両手で壁に書く漫画家というイメージがあったが、このジャズ調の曲はよい。スキャット(シャバダバドゥ)が素敵である。
・「田中雅之(クリスタルキング)」、「松崎しげる」という実力者がしっかり歌っていて全体を引き締めているが、CD全体が明るく軽い。
ゲームミュージックと侮るなかれ。この出来ばえのよいCDを一度聞いてほしい。これだけの才能を集めて、全体として素晴ら
しい作品集を作るという、企画段階での話をぜひお聞きしたい。