根津甚八
2010年の秋に俳優引退宣言をした根津甚八の半生記。
著者は妻の根津仁香(芸能関係の人ではありません)。
彼が90年代以降、腰、眼、うつ状態などの病を抱えていたこと、
現在は家から出ることもままならない状態にあることが明らかにされている。
彼女が根津本人、かかわってきた人物からの証言でその生き様をつづっている。
主軸になっているのは、根津の俳優人生において原点であり、よりどころでもあった状況劇団、その主催者・唐十郎との関係である。
根津は幼少のころから自意識が強く、人とのコミュニケーションをとるのが苦手だったという。
そんな彼が、生きる道を見出したのが演劇、そして状況劇団での活動だった。
彼が交流したさまざまな人々のコメントから彼の役者としての姿勢が浮かび上がってくる。
状況劇団を根津が去る際に、唐と残した心のわだかまり。
それが最後に、妻である著者と唐との面談でときほぐされていくだりが感動的だ。
著者の文章を書くということへの誠実な姿勢が読んでいてすごく伝わり好感が持てた。
夫・根津甚八への深い信頼、愛情が伝わってくる。
そしてとりつくろっていない文章。
書くということは、対象に対して誠実に向き合うことであるべきで、そうすれば、
そのことが読み手の心を動かすのだ
そんなことを読んでいて思った。
とてもいい本です。
中島みゆき SONG LIBRARY BEST SELECTION
収録曲を見て、母が好きそうかも、と購入。
やっぱり喜んでくれました。
昔よく母が口ずさんでいた研ナオコさんの曲、薬師丸ひろ子さんの「時代」。
私が中学卒業の頃に聴いた「春なのに」、工藤静香さんの曲。
母娘二代で楽しめるアルバムでした。
この1枚では「きっと愛がある」が異彩を放っていますが(笑)これも中島みゆきさんの曲だったのですね……意外な感じです。
夜がまた来る ニューマスター・デラックス版 [DVD]
それがプラスであれマイナスであれ、“忘れられない、別れられない”という想いが石井監督
の多くの作品を貫いて見えます。この『夜がまた来る』は夏川結衣さん演じる“名美”が復讐
のために生命をかけるハードアクションですが、人が人を愛してしまった時に運命付けられる
“記憶の鎖”が彼女をがんじがらめにしている、そんな哀しいラブストーリーを本質に抱えて
います。
これでもかとばかりに地獄が彼女を襲うわけですが、どうしてそんな過酷な状況に自らをおと
しめて突き進むことが出来るのか。冷静になって考えれば、かなり“不自然”で無理な展開で
す。どう考えたっておかしな描写が続くのに、引き込まれてしまうのは何故かと自分なりに
考えるのは、結局のところ石井隆作品とはこころに正直であることを最優先していて、本来な
らば表情や肌の裏側に隠れ潜むものを表にべろりと出している徹底した“情念の劇”だからな
んでしょう。
広い世界の片すみに恋慕の情がひっそりと咲いて息づくのでなく、その逆に、人の想いが舞台
設定を思い切り歪め変質させて、世界のすべてを強引に創り出している、それが石井ワールド
ではないでしょうか。階段、屋上、地下室、月光、そして雨…。人の情念が“不自然な”舞台
を求めていく。背景から小道具、衣装や体毛、化粧といったあらゆる事象のディテールをきめ
細かく決めていかなければならなかったハイパーリアリズムの劇画家としての前身が、石井作
品の独特の雰囲気をいまだに支えていると感じます。
“名美”は愛した夫が残した轍をたどり、結果的に為し得なかった組織壊滅を代わって貫徹し
ようとするわけですが、それはもはや肉体が葬られて消失した亡き者との痛々しくも崇高な
メイクラブだったのだと思うのです。死に物狂いで身を投じ、彼が呼吸し、闘い、恐怖しなが
ら生きた空間に素肌とこころを重ねていった、ということなんでしょう。過分にロマンチック
でいまを生きる女性にはフン、馬鹿みたいと鼻で笑われてしまうかもしれませんが、男の想い
描く“恋”とはそういうズルズルと“影を慕いて”しまうものなんですよね。どうしても簡単
には割り切れないんだよね。男ってホントに不器用でバカなの。
そのようなわけで『夜がまた来る』という作品は相当に変形して暴力に満ちた映画だと
誤解されやすいのですが、実は石井監督らしい繊細で愛しい折り紙細工のような
メロドラマなんだと思います。ぜひご覧ください。
中島みゆき ソングライブラリー 2
みゆきさんは積極的に、かつかなりバラエティーに富んだ相手に作品を提供している。それが確認できるこのシリーズは面白い。
しかしながら、実のところ、作品をしっかり歌いこなして「自分のものにしている」のは、ソングライブラリー6作品(ベストを含む)の中で、研ナオコさんとちあきなおみさんだけである。そして、1,2,3に両者が並び立っているが、その中でも白眉なのはこの2。ナオコさんの歌の上手さ・芸域の広さは周知の通りだが、ちあきさんの「ルージュ」はその後みゆきさんがセルフカバーした際に影響を及ぼしたほど歌いこなしている、との評もある。正直他の人は(加藤登紀子さんでさえ)「中島みゆき」という壁を越えていないし、みゆきさんのセルフカバーがある作品については最早「完敗」、である(なんなら「この空を飛べたら」を聴き比べてみればいい。歴然とした差がわかるはずだ)。
「中島みゆき」を歌いこなすことがどれだけ困難かは、「辛いときは中島みゆきを聴きながら思いっきり泣く」とファンであることを公言している和田アキ子さんがこれまで全くアプローチしていないことからもわかる。TOKIO(長瀬君)もテレビ番組で中島バージョンの「宙船」を聴いて「いやー、全然迫力が違いますね。」と脱帽していた。それほどまでに「中島みゆき」の壁は厚く、高い。今後もみゆきさんの作品を歌う人が出てくるだろうが、きちんと消化・昇華されたアルバムは研&ちあきのご両人が入っているアルバムだけ、そして、その中で最もクオリティの高いのが本盤であろう。それ故に貴重な記録である。
BRAVE10 7 (MFコミックス) (MFコミックス フラッパーシリーズ)
最近購入した「戦国BASARA 乱・世・乱・舞」で紹介されていたので、試しに購入したのですが、すごく面白いです。
一気に7巻まで買ってしまいました。
確かに歴史漫画として読むのには適さないと思いますが、逆にその斬新な設定が物語を盛り上げているように思います。
ストーリーはとてもしっかりしてますし、あまり評価されていないようですが戦闘シーンも個人的にはそこまで見にくいとは思いませんでした。
キャラクターはメインの勇士たちはもちろん、伊達政宗を中心としたサブキャラまで皆魅力的です。
またコミックには毎回おまけで敵方の忍の漫画が収録さているのですが、これが何気に面白いです。だいたい漫画本編がシリアスなので、この漫画で癒されています。
他にもアニメ化もされている「殿といっしょ」(BRAVE10バージョン)の出張漫画もありお勧めです。
それとこれは個人的なお勧めなのですが、この漫画には渋いおじ様キャラが多いのでそういったキャラが好きな人はぜひ手にとって見てください(笑)この漫画の30以上キャラは本当にかっこいいです。もちろん10代・20代のキャラもカッコイイですが。
7巻では本誌で実施された人気投票の結果も発表されているので知りたい方はぜひ。なかなか予想外の結果が出ていましたよ!