狂った野獣【DVD】
1993年に、この作品はレンタル用VHSソフトとして、発売された事がある。
どうしても手元においておきたいという欲求に耐えられず、中古ルートを探したものだった。
というのも、映画『スピード』の日本公開時、一部の邦画ファンの間で「『新幹線大爆破』と『狂った野獣』を足して2で割ったのが『スピード』じゃないか」と、この映画を再評価する声が高まったからだ。
それなりの値段で入手したVHSソフトを大事に保管して十数年、ようやくのDVD化である。
VHSではシネスコをビスタサイズにトリミングしていたので、ノー・トリミングでのソフト化は、初めてのはずだ。
単なるパニック・サスペンスではなく、室田日出男扮する白バイ警官がダーティ・ハリーを気取って失敗するあたりは、コメディ・タッチになっている。
それがアクションのスピード感をそぐ事なく、見事にギャグが決まっている点もポイントだと思う。
挑戦者たち -トップアクターズ・ルポルタージュ-
どうしようかと迷っていたけれど、
どうしても、読みたくて注文して
昨日届いた。
「アクチュール」に連載されたものを
まとめてあるものだが、およそ380
ページに渡って、18人の俳優たちの、
その時々に「挑戦」していた映画、舞台
に向かう彼らの姿をインタビューや舞台
稽古する姿、また周りのスタッフ、共演
者などからみた姿など、多角的にとらえ
て、その時、彼らが何を思い何に向かって
いったのかを浮き彫りにしている。
彼らの真摯さ、そして、決して目をそらさない、
その姿がかなりぐっとくる。
そして、それぞれの「今」の姿が、最後に
載っているのも嬉しい。
値段的には高いかもしれないけれど、18人の
俳優たちの思いを、取り組み方を知りたいと
思う人は読んでみるのもよいと思う。
田園に死す 【低価格再発売】 [DVD]
あの有名なラストシーン(お部屋パカッ)は長い本編の仕上げに来ると
さらに効く。
どの場面、どんな端っこを切り取っても偏執的なまでに作りこまれた世界。
表現したかったことがあってあって仕方がない、という感じ。
どこまで凝っても足りないんだろうなあ。こういうのを天才というんだろうか。
本作は観る度に新しいディテールに気付くのでついむきになって何度もみてしまうし、
研ぎ澄まされた抒情的な映像はストップして絵画のように眺めてしまう。
私はDVDは基本借りて観る方針ですが、そういうわけで安い買い物でした。
カバーはいただけませんが。
三上寛怨歌(フォーク)に生きる
日本が誇り、津軽が誇るフォーク・シンガー、三上寛さんの自伝。その青春時代から、近況にいたるまでの足跡を本人の言葉で語りつくしてくれている。
自分は三上寛さんのライブを何度か見たが、その歌を聴くたびに涙が出てきてたまらなくなる。あったかい、熱い涙が、ライブの何曲目かで必ず大量に流れ出してしまう。他のミュージシャンのライブを見てもそんなことは全くないのに。後から考えると、なぜ自分が泣いたのかもわからなかったのだが、この本を読むとなんとなく想像出来る気がする。
それは、歌に、音にこめている重さや熱さや冷たさと言った質の濃密さ、、他の人から受け取って聞いている人に手渡していく多くの念をこめた歌や音だったからではないかな、と思った。こう書いていてももどかしいが、言葉とはぴったりと重ならないもの、音とも密着しきれないものが三上さんの歌には詰まっていて、自分にとっては空位のままの父親であるかのように、津軽ではもうめったに会えない「はんつけにされても心優しくまっすぐで強いもつけ」のように、またはこの世では会えないはずの弥勒のように、ありえないほどの美しい世界を作り出してくれる。有り難い歌の世界。歴史上の人物のようだ。こんな人が今も生きているのが信じられないほどだ。
と言ってみても、三上寛さんの歌には程遠いし、この著書について何を書こうとここにこめられている言霊に釣り合う言葉を書ける自信がない。ライブの打ち上げでも、一言も声をかけられなかった。そばにいても、尊敬と緊張で気分が悪くなったほどだ。芸術に興味があるなら、三上寛さんの歌を聞いて、この本を読むべきだ。ライブ映像も動画投稿サイトにはいくつかアップされているし。好みが違ったとしても、日本で、日本語でこんな深みのある表現が出来ることを知ることは損がないと思う。この著書も、三上さんの肉声が生々しく聞こえるかのような濃密な一冊。