本編では、映像の最終処理で緻密に描き込まれた背景をあえて潰している、そしてそのために現場のスタッフには恨まれている、と監督が告白されていましたが、これがその潰れてしまって観客が見ることのできない映像集ならぜひ見てみたい。そしてそれからもう一度劇場で本編を見たい。
~前作が草薙素子を主人公にしていたので、さほど気にならなかったのだが、本作はバトーを主人公にしている為、よりブレードランナーを意識させる映画になっている。オープニングのシークエンスはまさにその通りだし、相棒のトグサとのやりとりを観ていてもしかり。扱う事件もアンドロイドの暴走と共通点も多い。21世紀が中国の時代だと、誰しもが思うように~~なっているこの頃だが、それは最早既成事実であるかのように、本作には中国語が溢れかえっている。中盤のヤクザとの銃撃戦(必要ないと思うのだが、たぶん映画としてのサービスなのだろう)にしても、相手は黒社会の方が適切に思えるのだが、日本人としてのプライドが(パンフには、キャラクターのイメージを「仁義なき」から拝借と書いてある)そこまでやる~~のは許せなかったのかも知れない(エンドクレジットに出てくる中国人は言語関係のスタッフのみ)。映画を観ている間は、その映像と音楽と融合した音響効果の圧倒的な臨場感に始終酔わされっぱなしで冷静な分析などできなかったのだが、人とはなにか、不死とはなにか、人はなぜ人形を作るのか、人形に惹かれるのかといったことへの回答が示されており、見終わ~~って我に返ると、押井監督とうとうやったねと心の中で叫びたくなってしまった。まぎれもなく、押井守の最高傑作である。最後に一つ、監督のコメントの中に声優を決めるに当たって、田中敦子の起用に関して宣伝がらみで多少揉めたと書いてあったが、素子=田中のイメージが定着してしまっているのに、横から適当なことを言う連中がいるなんて許せないね。~
表紙とオビにしっかり書いてありますが完全新作ではありません。PIECES4,5(HELHOUND1,2)の作業雑記という位置づけです。過去作品を掲載していながら今作から表紙に18歳以上向け、裏表紙には「エロいのが嫌な人は見ないでね」とあるのはご愛嬌。
著者はメディアにまったく登場せず、このPIECESシリーズも過去に作成された作品を取りまとめたもののようです。未完の作品が多いので個人的に正直生死さえも疑ってしまいましたがご健在のようで何よりです。文章ですので他人が書いている可能性もありますが本人です。私のゴーストがささやいています。
著者のわかりやすくて静かな、それでいて強い意志が伝わってくる文章は昔から好きです。本文に大量の文章があります。個人的な意見ですが総集編でありますが大変満足しています。縮小されて良く見えないイラストも元の本があるので気になりません。
表紙裏にもご自分のプロフィールの一人歩きに関して少々の苦言も含めてびっしり記載があります。その中で次の言葉が印象に残りました「オンライン上ではコピー&ペーストを繰り返すから数の多さと正確さは比例しないのに・・・・・・。(一部略)」20年も前に現在の誰もがつながっていて情報を共有する世界を予見していた著者の言葉であると重みがあります。
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